グループの仲間が親身になって助けてくれた

お名前:江西菜摘さん

留学先:University of Western Australia

挫折を味わい改めて留学を真剣に考えた


 

留学自体を考え始めたのは、高校生の頃です。通っていた学習塾にイギリス人の先生がおり、その先生の授業で英語を英語で学んだことがきっかけでした。その時「日本と海外の架け橋になる仕事がしたい」という目標ができ、大学では外国語学部で英語を専攻しました。

 

オーストラリア留学を決めた理由は、大学2年生の時に受けた学内の留学選考に落選したという挫折があったからです。留学をしたい気持ちはあったものの、具体的な準備をしていなかった当時の私は、TOEFLで十分なスコアが取れず、「今のスコアで行けるところを選ぼう」と妥協をしてしまいました。結果、その甘さが見抜かれ落選。この挫折でもう一度真剣に留学を考えました。

 

「自分は何をしたいのか」「どこで学びたいことが学べるのか」を再考し、「日本と海外の架け橋になるには、異文化理解とコミュニケーション力が必要」にという結論に至りました。そこで多民族国家であるオーストラリア、自然豊かでのんびりとしたパースに目をつけ、再度学内選考に参加し留学を決めました。

 

オーストラリアでの留学生活


 

オーストラリアに着いてすぐは、自分の英語力の低さに衝撃を受けました。滞在は寮でしたが、日本人は少なく、友達を作るためには積極的にコミュニケーションを取る必要がありました。最初の一週間は食欲もなく、緊張でどうにかなりそうでした。そんな時に救ってくれたのは、同じ時期に留学していた日本人留学生と、オリエンテーションで出会ったインドネシア人の友達、そして家族でした。現地で出会った彼らとは今でも連絡を取り、近況報告をしたり飲みに行ったりしています。

 

UWAでは主にBachelor of Artsのクラス(メディアコミュニケーション、文化人類学、言語学)を受講していたのですが、とにかく付いていくことに必死でした。英語での授業は日本でも受講していましたが、話すスピードが速く聞き取れないことが多かったです。しかしUWAでは全ての講義が録音されており、好きな時に好きなだけ再生できたことは本当に助かりました。初めの半年は、寮の部屋に籠ってひたすら講義を再生する日々を送っていました。

 

オーストラリアの大学では、講義とチュートリアル(討論式の授業)で一つの授業が成り立っています。講義は録音を利用して復習することでどうにかなりましたが、チュートリアルは参加型の授業なので事前準備が欠かせません。課題の論文を読んで理解するだけでも大変でしたが、自分の意見を持ち相手に伝えることはもっと大変でした。最初はなかなか自分の意見が言えず、もどかしさと悔しさで辛かったですね。
しかし、同じグループになった仲間が親身になって助けてくれたので、授業を乗り越えることができました。こんな自分を見捨てずに救ってくれ、理解しようとしてくれたことがとても嬉しかったです。また多様な文化的背景を持った学生が多く、討論を通してさまざまな文化や価値観、考え方を学べたことや学生が積極的に意見を述べている姿は印象的でした。

 

留学を通して学んだ「コミュニケーション」について


 

留学で成長できたことは、英語力の向上はもちろんですが、「コミュニケーションとは」という問いについて自分なりの答えを見つけられたことです。
異文化理解、コミュニケーションについて学ぶという目標を掲げて臨んだ結果、授業はもちろん、日常生活からも多くのことを学びました。
中でも7月から4ヵ月間参加した日本語情報誌の編集のインターンシップでは、「読者にパースの魅力を伝える」というミッションの下、言葉選びや文構成など、今まで考えたことのない域まで深掘りをして一つの記事を完成させるという貴重な経験をすることができました。

 

このインターンシップを含め、留学生活を総括して見つけ出した答えは、「コミュニケーションとは、相手を思いやること」。対面のコミュニケーションも文章でのコミュニケーションも、全て「どうしたら理解してくれるか」を考えなければ成り立たないということを、パースでの生活が教えてくれました。これは言語関係なく、今すぐにでも実践できることで、実践すればその分より多くの発見や信頼関係を築くことが出来ると思います。生きるための基礎力を留学で学べたことが、何よりも嬉しい進歩でした。

 

休日の過ごし方や日常生活


 

休みの日は友達と街へ出かけるか、散歩に出かけていることが多かったです。パースの青い空と海を見ているだけで心が癒され、悩みも辛いことも忘れることができました。今一番欲しいものは、自然とゆっくり流れる時間ですね(笑)。
お気に入りのスワンリバー沿いの歩道。よく散歩していました。

パース北部にあるノースビーチ。こんなにきれいな海を見たのは初めてでした。

大学付属の寮だったので、食事は3食付きでシャワールームとトイレは共用、部屋は一人部屋でした。食事は和洋中に加えメキシカンなどの多国籍料理。どれもおいしかったですし、3食決まった時間に食べるので日本より健康的でした。

 

寮費にはジムの料金も含まれていたので、ランニングマシーンで走ったり、友達とズンバのクラスに参加したりしていました。金曜日の夜は遅くまで賑やかでしたが(笑)、一人部屋だったので自分の時間をしっかり取れたことはよかったです。

 

寮でよかったのは、大学にも近く勉強に集中できたことです。テスト期間はよく夕食後に図書館へ勉強しに行っていました(テスト期間中の図書館は24時間開放)。ホームステイやシェアハウスに比べ費用は高いですが、寮内のイベントも多く、友達をたくさん作りたい方、勉強に集中したい方にはおススメです。

 

インターンシップでの経験が今役に立っていると実感


 

卒業後は旅行代理店に就職し、今は店頭でお客様に旅行商品を販売しています。私は就職活動をする際に業界を決めず、「①海外と繋がりがある ②旅に関係がある ③接客ができる」の3本柱に当てはまる企業にひたすらエントリーしていました。
どの企業の面接でも基本的に話すことは同じで、「日本と海外の架け橋になりたい」、「お客様に日本や海外の魅力を伝えたい」の2点。主にインターンシップの経験を基に話していました。また、インターンシップ中に学んだ日本のビジネスマナー(特にメールの送り方)は就職活動中大いに役立ちました。

 

留学中、パースの日本語情報誌「experth-エキスパース-」で編集のインターンシップに参加しました。大学の日本文化サークルで配布されているのを見ており、友人がexperthでのインターンシップを考えていると聞き、自分もやってみたいと思い応募しました。日本と海外の架け橋になることに興味があった私にとって、「パースと日本を繋げる」と謳っていたことも大きな決め手になりました。
エキスパースでのインターンシップ初日。気合を入れて挑みました!

インターンシップでは、「伝える仕事」の奥深さにとにかく驚きました。誰もが理解できる文章を作ることは本当に大変で苦労しました。しかし、次第に「自分が楽しいと思ったことを伝える」ことの楽しさも感じるようになり、その頃にはほぼ自分一人の力で記事を書けるようになりました。
私は与えられた仕事を自分一人でやろうとしてしまい、報告・連絡・相談を上手くできていませんでした。そんな時に「仕事はチームで成り立っている」と編集長から教えられ、ハッとしたことを覚えています。それに気付かなかった自分に悔しさを覚えると共に、足りない部分をしっかり言葉で指摘してもらえたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。その考えは社会人になった今でも心の中にずっと留めてあります。

 

私にとっての留学


 

私にとって留学とは、「目標を持つ大切さを教えてくれた場所」、そして「自分を見つめ直すための時間」です。
目標を持って留学に挑み、失敗もそれは次に生きることと考えられるようになり、前向きな自分を創る貴重なきっかけとなりました。また、留学で気づけた自分の強み・弱みのおかげで、今の自分にできること、やるべきことが見えてきました。今の仕事に就けたのも、留学で自分がどんな人間なのか理解できたからです。

 

海外に興味のある方、今の自分は何ができるのか知りたい方は、「何をやりたいか」を具体的に決めた上で留学すると、より多くのことが学べます。留学は人生の中でも大きなライフイベントの一つです。楽しいことばかりではありませんが、辛いことを乗り越えた時に自分に自信が持てるようになります。これから留学をされる方が、より充実した留学生活を送れるよう心から祈っています。
春の風物詩「ジャカランダ」。
日本の桜のような存在で、紫色がとてもきれいでした。

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