好きな仕事に出会う留学「インターンシップ」

大学を休学して1年間のインターンシップ 英語プラスアルファの経験を生かして希望のホテルに就職

語学だけじゃ足りない

ずっと英語が話したかった。そう考えていた青木さん。そこで大学2年の終わりにオーストラリアに1カ月、語学研修に渡った。「脳も若いうちにいろんな海外を経験することで、視野も広がりやすい」と、今度は1年間、それも海外で仕事を経験できるところを探し始めた。  

「英語を話せる人は多い。だから1年行くなら英語プラスアルファが必要。それが帰国して就職するとき、キャリアとして活かせるのではないかと思ったのです」。そこで目に留まったのはフィリピンのホテルでのインターンシップ・プログラムだった。欧米に比べると同じ内容でも費用はほぼ半額。しかも5つ星ホテルを経験できるのが魅力だった。  

しかしアジア、そしてフィリピンと聞いて、治安の面、生活の面から親は反対した.

「行ける時に行かないと！」と反対を押し切り大学を休学、少し不安を抱えたままフィリピンに向かった。しかし実際に現地に着いてみると勤務するホテルから30秒のところにアパートが用意されており、クーラー完備、生活物資支給、危険なところに行ったりしなければ安全だし、食事も安くておいしいと、暮らしは「日本より豪華」だった。  

フィリピン人の国民性に助けられ

だが仕事は最初、順調にはいかなかった。すぐに日本人のお客様のお世話をするゲストリレーションとして働き始めたが、敬語など適切な日本語でお客様と話せない、英語力が足りない、と辞書を持ちながら悪戦苦闘する日々が続く。  

「最初の4カ月くらいは余裕がなくて、うまく周りともコミュニケーションが取れませんでした。でもフィリピン人は日本人が好きな人が多く、仕事中はピリピリしていても、仕事が終わるとまったくキャラクターが変わって別人のように気さくになります。時間がたつにつれ言葉は足りなくても自然と信頼関係ができていましたね。そうなると冷静に仕事もこなせるようになっていきました」。  

友達と遊びに行ったり、休みを連続で取ってフィリピン中を見て歩いたりと充実の日々を過ごしているうち、あっという間に1年が過ぎようとしていた。  

働いているうちに自然と「もっとホテルを知りたい」と思うように。そこでインターネットなどを使って就職活動を始め、帰国後はいろいろなホテルの面接を受け、フォーシーズンズホテル椿山荘 東京に就職が決まった。  

「今はまだ入社3カ月目なので覚えることが多くてたいへん。でも海外で鍛えられ、何事もポジティブにとらえられるようになったし、視野も広がりました。精神的にも強くなりましたね」。  

最初、渡航に反対していたお母さんも、帰国後のある日、一緒に外出中に、困っている外国人旅行者を流暢な英語で助けている青木さんを見て、「行ったかいがあったね」と言ってくれたとのこと。1年間の留学費用もアルバイトで全額貯めたというバイタリティの持ち主である青木さん。フォーシーズンズホテルの一員として、毎日全力投球の日々だ。  

フォーシーズンズホテルの本社から派遣されている指導スタッフとは、冗談も英語で言えるほどになった

現地スタッフの家に招かれて、バーベキューパーティー

青木さんが好きな仕事に出会うまで

〈留学前〉 英文科の大学生。2年生のときにオーストラリアでの1カ月の語学研修に参加 〈留学〉 大学を休学して、ホテル・インターンシップでフィリピン・マニラのパン・パシフィックホテルへ（1年間）。ホテルの仕事のおもしろさを知り、帰国後の希望を固める 〈留学後〉 大学に復学して就職活動開始。藤田観光（株）に入社。フォーシーズンズホテル椿山荘 東京に配属が決まる  

就職活動を成功させたポイント 青木さんの場合

「ホテルをたくさん受けたのですが、最初、ことごとく落ちました。なぜなんだろうと考えてみて、1年間ホテルでインターンをやってきて、ホテルの仕事は何でも知ってる、何でもできるみたいな気持ちになっていたことに気がつきました。それから謙虚に自分を見つめ直して活動を開始したら、うまくいきました」