大学を中退して好きな料理の道へ
お名前:糸井 壮志さん
留学先:ALMA Scuola Internazionale Di Cucina Italiana
高校時代に1年間イタリアへ交換留学をしました。
私には二人の姉がおり、二人とも高校時代にアメリカへ交換留学をしましたが、留学中は常に不健康な食事に悩まされたらしく、それなら私は毎日美味しい料理を食べることができる国に行きたいと思いました。そこで頭に浮かんだ国がイタリアでした。
交換留学はVeneto州にあるVittorio Venetoという町のイタリア人一家にホームステイをし、高校は料理学校に通いました。調理実習の授業は週二日で、その他の日は数学や歴史、経営学などの授業がありました。この一年間の交換留学でイタリアの文化、イタリア語、イタリア料理を学び、将来は料理人になってレストランを開こうと決めました。
帰国後、将来レストランを開くために、埼玉県の獨協大学経済学部経営学科に入学して勉強に励んでいましたが、料理の腕を磨きたいという思いが強くなり、大学2年生の夏に中途退学しました。その後の大きな目標として、イタリアで料理修行をし、次に日本で納得のいくまで腕を磨き、30代で独立することにしました。そこで、イタリア留学中に通っていた料理学校の先生にアドバイスをもらい、パルマにあるALMA国際イタリア料理学校に入学することにしました。
イタリアへの料理留学を決め、渡航までの一年間で貯金と一定レベルの調理技術を身につけるために、東京と京都で計2店舗のレストランで働きました。海外で働く前に和食も学びたかったので、短期間の寿司学校に通って寿司、魚の捌き方、和食の基本も身につけました。
イタリアに来て、驚いたこと困ったこと
留学は2回目なので新たに驚いたことや困ったことは無いですが、何回イタリアに来ても困ることは、交通機関の粗雑さです。勿論日本の交通機関は世界でも抜けて優秀であり、それに慣れているせいというのもありますが、実際困らされることが多いのは事実です。例として電車では、遅延や券売機の故障などは頻繁で、電車内から今停まっている駅が何駅なのか把握できなかったり、わざと隠しているのではと疑うほど見つけ辛いところにホームがあったりと、書き出せばきりがないです。
ミシュラン星付きレストランのシェフから直接学ぶ
ICPコースは調理経験を持っている外国人が対象なので、学校での実習と座学は2カ月間と短く、あとの約5カ月間はイタリア全土のレストランで各々腕を磨きます。学校での2カ月間は、英語に苦労しました。クラスメイトは全員英語が母国語レベルで、私の英語では通用せず、思うように会話ができませんでした。
ゲストシェフが前菜からデザートまでフルコースを目の前で実演調理する授業が毎週1日ありました。ゲストシェフは毎回イタリア各地のミシュラン星付きレストランのシェフということもあり、複雑で斬新な料理が多かったです。それぞれのシェフの料理に対する考え方や流儀を聞くことができて興味深かったです。
イタリアのレストランで修業中
3月からロンバルディア州BresciaにあるOsteria della Villettaで働いています。朝の仕込みも昼夜の営業も常に自分から仕事を掴み取るという意識をもってしています。現在約2カ月が経ち、既にメインの一部の肉料理の仕込み・調理もさせてもらっています。
レストランでお世話になっている人たちに寿司を振る舞うと、とても喜んでもらえました。握り、巻き、軍艦、煮アナゴなどのリクエストに応えることができ、日本で寿司を学んだ甲斐がありました。
レストランのシェフが寿司好きで寿司を振る舞う機会が多くて、毎回ネタの種類や調理法を変えて工夫しています。イタリア人にはベジタリアンや、生魚が苦手な人が多いので、今後そういった人たちにも喜んでもらえるような寿司や日本の家庭料理を作ってみたいです。
プライベートについて
休日には、電車で大きな街(ミラノ、フィレンツェ、ボローニャなど)へ出て、ランチや買い物、散策を楽しんでいます。イタリアの建造物や歴史好きでない限り、日本人の若者にとってイタリアの休日は退屈に感じることが多いかもしれません。車を持っていたら休日の過ごし方の幅が広がりますが、留学生には難しいかもしれませんね。
現在は、アパートに一人暮らしをしていますが、学校の寮に住んでいた頃は、昼は学校で毎日ビュッフェ、夜は自炊をしていました。キッチンには鶏肉、玉ねぎ、じゃがいも、パスタを常備しておくと自炊がしやすくて、食費も抑えることができます。スーパーで醤油や味噌を買えばいつでも日本食も食べられます。
ルームメイトはインド人の21歳の男性でした。二人で夜ご飯を作ったり、休みの日はパルマやボローニャに行きました。彼が作るカレーは本当に美味しかったです。
日本でレストランを開業し、イタリアのシェフたちを招待したい
こちらに来てから、料理の幅と質が格段に向上し、イタリア料理に限らず料理全般への探究心が深まりました。他には、イタリア語、英語、ワインの知識、イタリアでの生活力などが上達、または身につきました。
料理学校卒業後はイタリアに残らず、帰国して日本のイタリア料理店で料理修行を続けます。修行は納得がいくまでとは思っていますが、30代前半で独立して、生まれ育った京都にレストランを開きます。そして、イタリアのホストファミリーやレストランのシェフを招待したいです。
私にとって留学とは、外国の実際を肌で感じると同時に、海を越えた外から日本という国を知り、考えることができる機会だったと思います。二度の長期留学を経験して、日本のよさをたくさん知って、日本が大好きになりました。
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