授業がわからなくて落ち込んだとき 友だちのひと言に救われた

成蹊大学の協定留学に参加し、大学4年になると同時にここに来ました。

 

成蹊大学には留学生が多く、キャンパス内で接する機会も多いんです。いろいろな国の同世代の学生を見て、自分も逆の立場になって海外の大学で学んでみたいと思いました。海外の大学の授業って日本とどう違うのかも興味がありました。

 

それと、大学時代になるべく多くの人と関わりたいという気持ちがありました。というのも、１、２年のときに資格試験の勉強で誰とも会わない生活が続いていたから。このまま大学生活を終わるのは嫌だったので、迷った末、資格試験の勉強は一時お休みにして留学をすることにしました。

 

留学先は、大学が協定している中から選択できます。モナシュ大学を選んだのは、人権について詳しく学べるコースがあったから。私は特にオーストラリアの先住民に興味があったので人権について考える際にも特にそれらの人の立場からみた問題を考えていました。私は、中学生の頃に日本国憲法の素晴らしさを知って以来、法律に興味を持ち勉強してきました。中でも人権に興味がありましたが、日本には人権に特化して学べる学部・学科があまりなかったのです。

 

最初の3カ月は、大学の授業に参加できる英語力を身に着けるため、「ブリッジングコース」で英語を学びました。日本の英語学校のイメージとは違って、レポートの書き方、エッセイの書き方、参考文献の書き方など、あまり日本では学ぶことのない内容でした。

７月から大学の授業に参加し、11月に学期末のテストが終わったところです。
大学の授業は、ほとんどがローカルの学生なので授業についていくのが大変。たとえば「国連の機能についてどう思うか」といった、日本語でも答えるのが難しいテーマについて英語で議論をすることが多々あります。1セメスターで3、4科目取りますが、授業に参加するには１科目につき30ページもの文献を読んで予習しなければなりません。ディスカッションでちゃんと意見が言えるよう準備も必要です。

 

最初は、「授業に出ても、先生が何を言っているか全然わからないし、行きたくないなぁ」と思ったことがありますね。先生は優しくて、「わからないことがあったら何でも質問して」言ってくれますが、何を質問したらいいかすらわからない。授業に出なくてもオンラインで授業は見られるので、それでもいいやと思った時期もありました。

 

でも、友だちに救われました。イギリス人の友達で、彼女は数カ国語が話せるのですが、「英語が上手に話せなくて悩んでいる」と言ったら、「自分も今のようになるまでは、他の人のほうがもっと上手だったし自分には向いていなと思ったことがある。それでも続けたから今がある。続けるということも一つの才能だ」と言われたのです。その言葉に励まされて、「そうだ、続けることが大事なのだ」と気持ちを立て直しました。

 

授業で先生に当てられて発言するとき、「ちゃんと先生の質問の主旨に合っているかな」「先に他の人が同じ意見を言っていなかったかな」と気になってなかなか発言できませんでした。でもこれも友だちの「だれもそんなことを気にしていない」というひと言に救われました。そう言われてみると確かに、だれも人の答えなんてそこまで気にしていない。ピントはずれの答えでも平気で言っています。「なんだ、それでいいんだ」と気が楽になりましたね。

 

滞在はホームステイ。友達は途中からシェアハウスに切り替えていますが、私は幸運なことに居心地がよくてずっとホームステイです。オーストラリアの人はon／offがはっきりしていて、プライベートの時間をとても大切にしているのがいいと思いました。

 

オーストラリアに来る前は、社会人になったら多少残業するのは仕方がないのかなと思っていましたが、オーストラリア人の生き方を見ていると、無駄な残業はしたくないと思ってしまいますね（笑）。それよりは自分の人生を充実させるために時間を使いたいです。

 

留学＝語学力アップと思っていましたが、実際はそれだけではありません。視野がとても広がるし、価値観も大きく変わる。この経験から得ることのほうが語学よりずっと大きいと思います。
先に留学した人から「視野が広がっていいよ」と言われてはいましたが、そのときは「そんなものかなぁ」くらいにしか思っていませんでした。今、その言葉の意味を身を持って実感しています。本当にすごく影響が大きかった。やはり実際に来てみないとわからないと思います。