うれしいとき、悲しいとき、とにかく人が集まればお酒はつきもの。
上手につき合えば、人生を楽しくする友になってくれる。
では世界の人たちにとって、お酒とはどんなものでしょう?
その国の人々のお酒の飲み方や一番飲まれているお酒を通して、
お国柄や文化の一面をのぞいてみましょう。
アメリカ America
ロサンゼルスでは冷たいビールが一番人気!
年中温暖なロサンゼルスでもっともよく飲まれているお酒はビール。大型テレビでフットボールや野球の試合が見られるスポーツバーは、午後4時頃から夕食時までが割引価格で飲食できるハッピーアワーになっていて、ビールを片手にした会社帰りの人で賑わっている。
アメリカでは祝日や誕生日にかこつけて頻繁に開かれるホームパーティでもビールを飲むことが多い。招待状にBYOBと書かれていたら、それは「自分のビールは自分で持って来てください」(Bring Your Own Beer)の意。
そんなときは「6パック」と呼ばれる6本入りパッケージの缶ビールを持って行くのが普通。バドワイザー、クアーズ、ミラーなどがアメリカビールの定番銘柄だが、パーティにはそれよりもワンランク上のアンカースティームやサミエルアダムスを持って来る人が多い。
ただし21歳未満の飲酒は厳禁。バーはもちろん、お酒を出す音楽クラブなども21 and over(21才以上のみ入場可)になっている。またアメリカでは酔っ払うと「自分をコントロールできない人」と見られてしまうので、飲みすぎには注意が必要だ。
バーでもビールを飲む人が圧倒的に多い
サミエルアダムスとシエラネバダはワンランク上のビールの代表格。右の2本はカリフォルニアのローカルビール
Text & Photo Yukari Travis
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インド India
飲酒=罪悪? インドは初めの一歩を踏み出したばかり
インドという国は、宗教的なことも相まって、飲酒に関してはそうとう保守的。飲酒=罪悪という意識が根強くあり、基本的には冷ややかな目で見られる行為。
先日も、飲酒開始年齢を25歳から21歳に早めるという案が、却下されたばかり。10年前ともなれば、大のおとながカーテンを閉めてから、隠れて家で飲酒していたほど。
現在、都市部は急速な発展を遂げてはいるものの、3〜4年前のデリーでは、まだまだ酒屋というのは、異様な場末的雰囲気をかもし出しており、女性一人で行くにはかなりの勇気が必要といった感じだった。
映画に出てくるような、「飲んだくれ」が薄暗く汚い店に吹き溜まっているイメージだったのだ。それでも急速な発展と共に、人々の価値観も多少は変化してきているようで、2年ほど前にやっとアングラな雰囲気がなくて、清潔で照明も明るい酒屋が登場しはじめた。
以前から、富裕層は高級ホテルなどで「国際レベル」といわんばかりにお酒を飲んではいたが、それはほんの一握りの層だけの話。
インドはやっと、お酒の楽しみ方を知る初めの一歩を踏み出したばかりだ。
(写真上)リカーショップも、大きな看板で堂々と営業するようになってきた(右下)飲酒を戒める警告看板(左下)インドのビールといえば、キングフィッシャー
Text & Photo by Hana Fuyuno
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オーストラリア Australia
種類も豊富ビールとワイン安くておいしい名産品揃い
オーストラリアで一番飲まれているお酒は、なんといってもビールだ。州ごとに有名なビールがあり、それぞれの地域の顔になっている。
例えばクイーンズランド州を代表するビールは爽快な飲み口の「XXXX」フォーエックス、ヴィクトリア州では深い苦みのある「VB」ヴィクトリアビター、ニューサウスウェールズ州では飲みやすい「Tooheys」トゥーフィーズ、西オースオラリア州では苦みのきいた「Swan」スワンなど。
パブで生ビールを頼みたいときは、「タップビア」“Tap Beer, please”と注文すれば生ビールが出てくる。そしてもう一つの代表的なお酒が輸出国世界第4位を誇るワイン。有名なハンター・ヴァレー、ヤラ・ヴァレー、スワン・ヴァレーなどたくさんのワインの産地が点在し、リーズナブルでおいしいワインがどこでも買える。
またオーストラリアでは、お酒の販売できるお店は“Licenced”と表示されているため、ライセンスのないレストランではお酒を出すことができないが、「B.Y.O.」(Bring Your Own)と書かれていれば、お店にお酒を持ち込んでもOKというサインなので、覚えておこう。
西オーストラリア州のスワン・ヴァレーワイナリーツアーでは、無料テイスティングができるので自分のお気に入りのワインが見つけられる
車から降りずにお酒が買えるドライブスルー
Photo by Mario Yamagishi /Text by Masako Ishikawa
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カナダ Canada
オンタリオワインの奇跡 美酒、アイスワイン
ナイアガラの滝の北東に位置するエリアはオンタリオ州ワインの産地。実はこのエリアはフランスのボルドー地方と緯度が同じで、その地形の特異性と相まってワイン造りに適している土地なのだ。
そしてこの地の激寒の冬の中から生まれたアイスワインは数々の賞を受賞している世界的に有名なワイン。その濃厚な味は一生に一度は味わってみたい美酒だ。
また、CCの愛称で人気のライウイスキー「カナディアン・クラブ」もカナダを代表するお酒。ライ麦をふんだんに使って作られるライウイスキーはバーボンにはないピリッとした主張がある。とはいえ、カナダ人が一番好きなのはなんといってもビール。週末に“ビール片手にピザをつまみながらホッケー観戦”は典型的な日常の風景。種類も地ビールを入れれば数えきれないほど。
しかしカナダでは禁酒法の名残で屋外での飲酒は禁止されている(個人の敷地内はOK)。公園や湖岸でのBBQにもアルコールは一切禁止と厳しい。酒類は政府認可の店でのみ販売、購入は飲酒年齢と同じ19歳以上と決められている。レストランやバーに入る際には当然IDが必要だ。
カナダでは政府認可の酒店でのみ酒類が購入できる。「LCBO」はアルコールのライセンスを持っているサイン。飲酒年齢19歳の厳守は徹底しており、酒類購入の際にもIDを求められることがある
Text & Photo by Sumi Sato
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ブラジル Brazil
サンバと会話とカサーシャ ダラダラと過ごす週末
ブラジルは世界第5位のビール消費国だが、ブラジルのお酒といえばカサーシャだ。別名ピンガとも呼ばれるこのお酒は、世界で3番目に多く消費されている蒸留酒。アルコール度が40度と高く、また値段も安いため、低所得層を中心に愛されてきた。
しかし近年は、上質でデリケートな味わいを持つマグニフィカのような高級銘柄が人気だ。マグニフィカは、プレーボーイ誌の「ブラジルのもっともおいしいカサーシャ・ベスト10」の一つに選ばれたリオデジャネイロ発のブランドだ。
飲み方は、琥珀色のカサーシャの風味をそのままストレートで味わうのもいい。砂糖とつぶしたライムを皮ごと加えれば、女性に人気のカクテル、カイピリーニャのできあがり。
最近はライムのみでなく、イチゴ、パイナップルなどのフルーツで作るカクテル、カイピフルータも定番となった。週末はビーチで、友人宅で、バールで、昼間から一日中ダラダラと飲むのがブラジル風。
おつまみの習慣はなく、酒の肴はサンバと友人との会話。サンバのリズムに肩を揺らしながら楽しむカサーシャは、まさにブラジルの味なのだ。
サンバと共にカサーシャを楽しむ週末
人気銘柄「マグニフィカ」の琥珀色のカサーシャは、香りも上品。ライムで作ったカイピリーニャは、氷を入れて冷やしていただくとおいしい
Text & Photo by Naoko Takahashi
フランス France
ワイン以外にもあるフランスのお酒とは?
フランス人にとって、もっとも身近なお酒といえばワイン。なんと中学生になる11歳で飲むようになるそうだから、20歳で解禁の日本人には驚きだ。お酒というよりも、フランス料理との最高の伴侶としての飲み物という認識なのかもしれない。
ワインはフランスの食文化と密接に関わり、切っても切れない関係なのだ。では、フランス人はワインしか飲んでいないのかというと、そうでもない。
次いで飲まれているお酒がビール。ドイツの隣にあるアルザス地方のクローネンブルグや1664、ビールをレモネードで割ったパナシェなど、夏のカフェのテラスでは定番人気。
また、ブドウが栽培できないブルターニュやノルマンディー地方ではリンゴのお酒が有名だ。クレープには欠かせない発砲酒のシードル、さらにシードルを蒸留したカルヴァドスなどがある。
南仏ではパスティスというアルコール度数の高いアニス風味のリキュールが愛飲されているが、水で割ると白濁する不思議なお酒。
フランスのお酒は種類も多く、料理によって、食前、食中、食後にと、しっかり飲み分けているのがグルメの国フランスらしい。
フランスの酒屋ではやはりワインの種類の多さに圧倒される。まれにビール専門店などもあるが、ワインショップがほとんどだ。地方に行くと、地酒がメインに陳列され、ラベルのデザインもさまざま
Text & Photo by Kyoko Okunaga
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