学生組織(学生社交クラブ)のソロリティとフラタニティとは?

公開:2019-12-09 更新:2019/12/12

ソロリティとフラタニティトップ画像

 

アメリカの映画やドラマで目にすることがある、日本人からするとよく分からないソロリティとフラタニティ。そもそもこの「ソロリティ(Sorority)」と「フラタニティ(Fraternity)」自体はじめて聞いたという人もいるかもしれませんね。
アメリカの大学に留学したことがある人であれば必ず目にしたことがあると思いますが、これらがなんなのか知っていますか?

フラタニティとソロリティって?

フラタニティもソロリティも学生組織(学生社交クラブ)になります。フラタニティは「兄弟」を示す「frater」からきていて男子学生が所属し、お互いを「brothers」と呼びます。同じようにソロリティも「姉妹」を表す「soror」からきていて女子学生が所属し、お互いを「sisters」と呼びます。結束は強く、卒業後もその関係は続くと言われています。
それぞれ1文字〜3文字のギリシャ文字をグループの名前にしていて、例えば、

ΑΨΡ (Alpha Psi Rho)
ΑΣΘ (Alpha Sigma Theta)
ΒΓΝ (Beta Gamma Nu)
ΓΡΛ (Gamma Rho Lambda)
ΩΦ (Omega Phi)

などです。学校によってフラタニティやソロリティの数も異なりますが、Nationalと呼ばれる全米規模のものから、アジア系、ラテン系の生徒が集まった人種ごとのものがあったり、ローカルのものがあったりとさまざまです。


必ずではありませんが、それぞれに学生寮を持っているので、メンバーになると共同生活を送ります。

ピクサーの映画「モンスターズ・ユニバーシティ」では各クラブ対抗で大学No.1を競っていましたよね。あの映画で、各チーム名の「ウーズマ・カッパ」「ロアー・オメガ・ロアー」「パイソン・ニュー・カッパ」はソロリティやフラタニティのクラブを意味しています。

日本の大学のサークルや部活とは何が違うの?

希望するクラブに入るという点では、日本のサークルや部活動とあまり違いはないのでは?と思われるかもしれません。では、フラタニティやソロリティは何が違うのでしょうか?

日本でサークルや部活に入ることを希望すると、一部の部活の強豪チームなど以外希望者は基本的に全員入れます。しかしフラタニティやソロリティではPledgingというプロセスを突破してそれぞれのクラブから指名されなければ入ることができません。

メンバーになることでのメリット、デメリット

希望のクラブのメンバーになって、実際に寮での共同生活が始まると、思っていたのと違う!もしくは思っていた以上に最高!などと色々なことが分かってくると思います。では、メンバーになることのメリットからご紹介します。

メリット

一生ものの人間関係を築ける
同じフラタニティやソロリティを希望してメンバーになったブラザーやシスターたちなので、一生の友達、尊敬する先輩、可愛い後輩と出会える可能性があります。親元を離れて寮で共同生活をするので、授業を受けている時以外はほぼメンバーと一緒に過ごします。主催のイベントなどがあれば一緒に協力して運営、準備をします。日本でも文化祭の準備を通してグッと仲良くなったりしますよね?

学生生活が豊かになる
メンバーになったことで、ブラザーやシスターが一気にできます。また、他のクラブと合同で行うイベントも多いため、そこでも交友関係が広がります。そのため、構内を歩いていてもたくさんの人から声をかけてもらうことが増えます。次のクラスへ移動している最中や、空き時間などに知り合いとおしゃべりできます。さまざまなイベントを運営、参加することで勉強だけでない多くのことが学べ、学校生活が豊かになります。

就職活動で履歴書に書くことができる
選考をクリアしてメンバーになった実績と、そこで得た経験などは履歴書に書くことができ、評価されることが多いです(全米規模であれば特に)。どんなことを行って何を学んだかが重要ですが、留学生の場合は特に、現地学生が多くいる社交クラブに在籍していたことは英語力とコミュニケーション力の高さをアピールできるでしょう。

デメリット

クラブによってはパーティー三昧
多くの人がイメージする、「パーティーばかりやっている集団」。これは間違っている訳ではありません。フラタニティやソロリティによっては、男女の出会いを目的に頻繁にパーティを開催するクラブもあります。飲酒や喫煙、ドラッグの使用などに繋がることもあるので注意が必要です。

勉強がおろそかになる
仲の良い友達ができる可能性は高いですが、一緒になって遊んでばかりいると学業がおそろかになります。ネイティブの学生は英語で困ることはありませんが、留学生は英語も学びつつ学校の授業にもついていかなければいけません。そのため、パーティーが頻繁に行われるようなクラブに入っていると単位を起こして留年する可能性もあります。1学期伸びるだけでも留学生はお金がかかります。勉強がおろそかにならないよう気をつけましょう。

厳しいルールがあり、お金がかかることも
各クラブに厳しいルールがあり、そのクラブに忠誠を誓う感じです。日本でもそれぞれに規則はあると思いますが、フラタニティやソロリティではメンバーの結束がとても硬く、ルールも厳格に守られる場合が多いです。また、会費のような一定額を支払わなければいけないこともあります。集めたお金をイベントなどの運用資金にしますが、入会する前にいくらくらいかかるのかも把握しておいた方が良いでしょう。

どうやってメンバーになるの?

sorority画像

 

大学によっては50以上のソロリティやフラタニティがある中から、どうやって自分が入りたいものを見つけるのでしょう。また、希望すれば必ず入れるのでしょうか。
そもそも、これらには必ず入らなければいけないということはありません。特に留学生の場合、入る人はごくわずかではないでしょうか。メンバーになりたい場合、希望者が全て入れるわけではありません。各クラブで入会審査があり、その審査を通過した学生が晴れてメンバーとなります。大体の流れは、

1. 学期の初めに、入会希望者用にブースが出ています。そこで名前や必要事項を用紙に書き込み、入会希望届をしたことになります。

2. 多くの場合、入会条件として GPA2.0 (大学成績平均70点以上)という規定があります。この規定は在学中ずっと適用されます。もしこの規定を下回ると活動に参加できなくなります。

3. 入会希望を済ませると各クラブに希望の旨が届けられます。その後、電話もしくは直接各フラタニティーの人たちから連絡があり、イベントやパーティに来ない?という感じで勧誘に来ます。この勧誘から希望者は Rushee(ラッシー)と呼ばれ、フラタニティーやソロリティの入会希望者となります。

4. Rush Eventという期間が大体1−2週間設けられ、各クラブで色々なイベントが行われます。Rusheeは、各クラブを訪れて自分の気に入ったものを探していきます。それと同時に、各クラブでは、ドラフトで入札するRusheeを見極めているのです。ドラフトで得る人数に制限はありません。イベントに参加しているときには、積極的にメンバーと話をして、自分を売り込むことが必要です。自分をアピールしてドラフト時に指名してもらわなければ入会ができないからです。

5. Rush Eventの期間が終わると、Bids (ビッズ)になります。Rush Eventの間に声をかけられるRusheeもいますが、通常このBids Dayという日に通知が届きます。そのため既存メンバーはこの前日にどのRusheeを新しくメンバーに迎えるかを話し合います。その結果どこからもBitがない場合、どこにも入会できなかったということになります。この場合にはまた来学期挑戦する、もしくは諦めることになります。複数からBitが届いた場合、自分が希望するところがあれば入会しますし、そうでないところから来た場合には断ることももちろん可能です。また来学期挑戦することもできます。

6. 入会が決まると、日本でいう新入生歓迎会のようなことが行われ、Pledge(プレッジ)という未公認会員となり、正規会員になるまでに様々なイベントがあります。正規会員になるための試験勉強を先輩メンバーが手伝ってくれたり、同期のメンバーで力を合わせて行うことなどもあります。この期間にやっぱりちょっと違うな…などと思えば、退会することもできます。

7. 正規会員となるための課題や儀式を終えると、最終日には打ち上げパーティーのようなことが行われ、他のソロリティやフラタティからたくさんの人も参加します。

メンバーになったらどんな日々なの?

メンバーになると、頻繁にスポーツ大会やボランティア活動、パーティなどのイベントが行われます。他のクラブと合同で行うことも多いので、さまざまな人との交流ができ、英語力は飛躍的に伸びるでしょう。
大学内でも、たくさんの友達がいることで毎日が楽しくなるでしょうし、アメリカ文化であるこの社交クラブを通して「アメリカ」をよく知ることができるでしょう。クラブの寮に滞在するとことで寝食をともにし、sisterやbrotherたちととても強い絆が生まれます。

日本人留学生が中心となっているJSA

ソロリティやフラタニティに入る日本人留学生は少ないですが、JSAというJapanese Student Associationという、日本人が中心となって日本の文化などを他の学生に紹介する団体が多くの大学には存在します。そこでは日本に興味のある現地学生や他の国からの留学生がJSAが主催するイベントに参加し、交流を深めることができます。ボランティアで日本語を教えたり、逆に課題でわからないところを教えてもらったりもします。

アメリカのドラマや映画では、パーティーばかりやってる若者の集まりも確かにありますが、そればかりではなく、民族のルーツを大切にしたり、ボランティア活動などの社会貢献も行なっています。事前にどんなものなのかをしっかりと知った上で入会希望することが大切ですが、希望するクラブのメンバーになれれば、充実した留学生活になることは間違いないでしょう。一生物の友人が見つかるはずです。

この記事を書いた人

「あの国で留学」の編集チームは全員が留学経験者。留学会社に勤務し実際に留学を希望する人のカウンセリングを行ったメンバーもいます。留学へ行きたいと希望する人の気持ちもわかり、実際に行った経験からどんな情報があったらいいかも熟知しています。留学を希望するすべての方に役立つ情報を発信していきます!

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