公開:2015-04-15 更新:2019/07/02
海外進出や国際競争の激化によって日本企業のグローバル化が加速度的に進む一方、長引く不況や震災の影響で雇用情勢が不安定になりがちな日本ビジネス界。海外での留学・就業経験を武器に就職や転職を成功させるには、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。
毎日コミュニケーションズが運営する、グローバルな人材のための就職情報サイト「マイナビ国際就職」編集長、柳楽太郎さんにお話を伺いました。
海外に留学する日本人の数は近年減少していますが、一方で海外留学生や留学経験者といったグローバル人材を採用する企業は急増しています。留学生・留学経験者を対象にした弊社主催の就職フェアでも、今年の参加企業数は昨年比130~140%とという大きな伸びを見せています。
留学生を採用する企業と言えば、これまではメーカーや商社、IT系、外資系企業が中心でした。それが近年サービス業や流通業といった、国内マーケット中心だった業種がグローバル人材を採用するケースも増えているが特徴です。
なぜ企業が留学生を求めるのか、その理由について国内企業に調査したところ、1位が「優秀な人材を確保するため」、2位が「外国語や国際的な業務の必要があるため」という2つの理由が圧倒的に多かったんです。
2位の語学力や海外業務については、企業のグローバル化が進んでいる証拠と言えるでしょう。しかし実際には1位に挙げられるように、プラスアルファの潜在能力をグローバル人材に期待している企業が多いようです。上場企業や大手企業になるほど、その傾向は強く、それは裏を返せば、国内で優秀な人材を十分に確保できないと感じる企業が増えていることにもなります。
優秀な人材とは具体的には「主体性、発信力、ストレスコントロール力を持った人材」ということ。今の日本の学生はそうした力が足りない。と多くの日本企業が感じているようです。それだけに、気軽に留学できる時代ではない今、あえて留学しようとする人は企業にとって非常に魅力的に映ります。留学するからには強い目的意識や意志があるでしょうし、限られた時間の中で勉学に励み、何かを成し遂げるのは決して簡単ではないはず。海外生活で鍛えられた留学経験者の精神力や行動力に、企業は大いに期待しているのです。
留学を考えている人は「留学=語学力」と考えがちですが、企業側にとって語学力は能力のひとつでしかありません。もちろん企業によっては英語で商談できるくらいの高い語学力が求められることもありますが、ちょっとでも英語が話せればいい、という企業もあります。むしろ最近は「語学力は後からでも身につけられる」と考える企業が増える傾向にありますね。
また「留学したこと自体が就職に有利になる」と思っている人もいますが、これは大きな勘違い。企業が評価するのは留学に行ったことではなく、現地で何をしてきたのかということです。そこをはき違えず、留学先でしっかり経験を積むことが大切です。不況のあおりで「留学中でも就職のことが気になる」という人もいますが、不安にかられて留学がおろそかになるのは本末転倒。ナーバスにならずに充実した留学生活を送って頂きたいですね。
海外で生活すると、必ず求められるのが自分から発信する力です。海外では日本について聞かれたり、自分がどうしたいかを伝える場面がとても多い。何も発言しない人は存在しないも同然という世界ですから。多くの日本企業が海外マーケットへシフトする今、留学経験で得た発信力や積極性は就職に有利に働くと思います。
また、留学生の就職活動はどうしても短期決戦になります。日本の学生は大学3年の秋からエントリーして長いスパンで就職活動を行いますが、留学生は帰国してからの限られた時間の中で結果を出さなければなりません。中途採用の場合は、新卒以上にその傾向が強くなります。そうした中で就職を勝ち取っていくには、自分が留学を通じて得たことを短い面接の中で主張する力が求められます。
とはいえ、実際に多くの人が就職するのは日本企業。海外のように特定の職種や能力を求めるのではなく、日本企業はまだまだ総合職としての採用が大多数です。企業の中にはグローバル人材の採用歴が浅いケースも少なくありません。
そのため、日本の企業風土やカルチャーに合わせられる柔軟性も同時に求められます。自己アピールは大切ですが、「自己主張が強い=使いづらい」と思われると、せっかくの留学経験がマイナス評価になる可能性も。海外とは人事や採用に関する考え方が違うと認識しておく必要があるでしょう。
今や日本は国籍を問わずに優秀な人材を採用する時代になりつつあります。日本人だけでなく、世界の人々がライバルだと思った方がいいでしょう。そこで勝ち残っていくには、留学先で何をしたいのか、帰国後にどう働きたいかといった将来のビジョンが描けないと、世界と渡り合っていくことはできません。留学前にできるだけ具体的なキャリアプラン、ライフプランを考えておくことが、留学と就職を成功させる秘訣といえます。
滞在国や留学期間、プログラム、留学費用など、留学スタイルの中で最もバラエティに富んでいるのが語学留学。語学に自信がない人でもチャレンジでき、時分の語学レベルに合わせて受講できるのが魅力です。短期間で語学力をアップさせるには、ある程度厳しいカリキュラムのもと真剣に勉強に取り組む必要がありますが、意志の強さがあればビジネスレベルも夢ではありません。大学付属校での語学学習と大学の授業に参加できる1年間のプログラムや交換留学も、短期間で力がつくと評判です。
MBA取得コースや、ビジネス英語研修とインターンシップを組み合わせたプログラムなど、資格の取得をめざしたり、ビジネスに直結する知識や経験をつけるための留学。アメリカやイギリス、オーストラリアなど英語圏の大学やビジネススクール、語学学校のビジネスコースなどに入学します。社会人の参加者が多く、世界各国に人脈ができるのも魅力です。インターンシップを加える場合は、業種や職種が帰国後の自分のキャリアに結びつく内容かどうかを考えて選ぶことが大切になってきます。
ホテルや一般企業など、現地の職場で実際に働きながら経験と語学力を身につけられるのが魅力。手配会社や学校のプログラムに参加するほか、国は限られますが、ワーキングホリデービザを活用してインターンシップ先を自力で探す方法もあります。アメリカをはじめ欧米では高い英語力が求められ、現地学生などライバルも多い一方で、アジア圏では日常会話レベルでも採用されることが多いです。国によって認められるインターン機関や条件、研修先が異なるため、出発前にリサーチをしましょう。
正規留学は語学力と大学卒業資格を一度に手に入れられ、新卒採用としても有利です。看護師など、その国の国家資格を取得できる大学もあり、高い語学力が必要です。通常は大学付属施設で語学研修を受け、一定レベルに達したところで大学に進むことになります。日本の大学と違って海外の大学は課題も多く、相当ハードな学生生活を覚悟しなければなりません。在学中にバイトできないので、学費や滞在費がまかなえる資金力も不可欠です。
大学の専攻知識をさらに強化して学位をとりたい、日本では学べない分野の知識を得たい、キャリアアップのために専門知識を身につけたいといった人向け。学生だけでなく社会人も多い留学スタイルです。留学先はアメリカやイギリス、カナダなどの英語圏が中心。オーストラリアでは翻訳・通訳の国家資格を取得できる学校もあります。期間は1年前後と大学留学より短く費用も少なめです。授業はディベートやリサーチ、プレゼンなどが多く、ビジネスに役立つスキルが身に付くのも特徴です。
デザインや、IT、会計、貿易、料理・製菓、医療、美容、通訳・翻訳、マッサージなど、特定の専門分野に関する知識と経験を得られる”手に職系”の留学です。新卒はもちろん、社会人が転職する場合にも有利。第一線で活躍する有名講師による直接指導や実地研修など、専門学校でしかできないカリキュラムも多く、帰国後に即戦力となるスキルを身につけられます。修了後に現地でのインターンシップができたり、大学へ編入できる学校もあるので、希望する人は事前に調べておきましょう。
留学と言っても期間や滞在地、プログラムによって得られるものは大きく異なります。目的にフィットするコースをじっくり吟味して。
留学生で以外にあいまいなのがこれ。帰国後に何をしたいのか、キャリアプランやライフプランをできるだけ具体化しておきましょう。
求める語学力は企業によって異なりますが、やはりビジネスレベルとされるTOEIC730点は欲しいですね。外資系なら800点以上は当たり前になってきます。
評価されるのは留学そのものではなく、留学先で何をしてきたかです。異文化の中できちんと自己主張できる力も鍛えておきましょう。
留学生の就活は帰国直後の短期決戦になるため、貴重なチャンスを逃さない情報収集力が重要です。情報サイトはまめにチェックを心がけましょう。
グローバル人材を初めて採用する企業も少なくない近年。自己主張が強すぎると煙たがられる可能性もあるので、柔軟に対応をしましょう。
参考:あの国でこれがやりたい!Vol.45
この記事を書いた人
「あの国で留学」の編集チームは全員が留学経験者。留学会社に勤務し実際に留学を希望する人のカウンセリングを行ったメンバーもいます。留学へ行きたいと希望する人の気持ちもわかり、実際に行った経験からどんな情報があったらいいかも熟知しています。留学を希望するすべての方に役立つ情報を発信していきます! |
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