一口に“カフェ”といっても、国によって味やスタイルはさまざま。
歴史を感じるおしゃれで優雅なカフェから
ユニークな屋台カフェまでいろいろある。
あなたはどんなカフェに行ってみたいですか?
カナダ Canada
「ダブル・ダブル」とドーナツでほっと一息
ほとんどのカナダ人には、毎日行くカフェがある。その筆頭は「セカンドカップ」。
夏にはパティオでイーゼルをたて、ストリートの絵を描く画家の姿も。
しかし、
カナダで一番愛されているカフェといえば、「ティム・ホートンズ」。
小さくてかわいいミニドーナツのティム・ビッツとコーヒーの組み合わせは、女性に大人気。TVコマーシャルも、ティム・ホートンズに立ち寄りながら、カナダ中を車で旅する話など実話に基づいたストーリーで、いつも話題を呼んでいる。
ところで、「ダブル・ダブル」という言葉がある。これはコーヒーを注文する際に、ミルクとシュガーをダブルで、という意味。ティム・ホートンズから生まれて定着し、今ではカナダの辞書にものっているもっとも有名なカナダのスラングだ。
エブリデイ・カフェもいいけれど、たまにはゴージャスでスペシャルな時間を楽しみたい、そんな女性に根強い人気を誇っているのは、ナイアガラ・オン・ザ・レイクにあるホテル「プリンス・オブ・ウェールズ」のアフタヌーンティー。上質のアンティーク家具とバラの香りに包まれてビクトリア朝時代にタイムトリップできる。
ティム・ホートンズの定番人気メニューはティム・ビッツとコーヒー。コーヒーはもちろん「ダブル・ダブル」で
セカンドカップのサインは遠くからも目立つので、待ち合わせ場所としても人気
Text & Photo by Sumi Sato
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タイ Thailand
とってもリーズナブルなカフェ屋台がおすすめ!
タイ・バーツの値がどんどん上がっている。1年ほど前は1バーツ=3円程度だったのが一時期は4円にせまる勢い。現在は3.5円を前後している。これは経済的に急成長している一例。
また首都
バンコクでショッピング・センターも次々と建設されているが、そこで必ず見かけるのがスターバックスやグロリア・ジーンズなどの欧米系カフェ。内装や雰囲気は他の国とまったく変わらない。値段はカフェラテが70バーツ(約250円)と物価を考えると少々高め。
でもご安心を、街のあちこちに、それよりぐ〜んと安い立ち飲み&テイクアウトのカフェ屋台がある。こちらは一杯10〜20バーツ(約35〜85円)程度だ。この屋台も欧米系カフェの影響を受けて進化している。以前はリヤカーを利用したちょっと汚い感じの店だけだったのだが、最近はおしゃれにデコレートし、エスプレッソを出すところもある。
「週末に友達とゆっくりとおしゃべりしたいときはスタバ。でも普段は屋台のテイクアウトね」と言うのは旅行会社に勤めるOLのレックさん。自分の懐具合によってチョイス可能なのがタイらしくてうれしいかぎりだ。
進化型の屋台式カフェの中にはラテやエスプレッソを出す店もある
テイクアウトするとき、アイス・コーヒーなどつめたいものはビニール袋に入れてくれるのがタイ式。たっぷりのコンデンス・ミルクと砂糖ですご〜く甘い
Text & Photo by Masao Umemoto
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スウェーデン Sweden
キャンドルの炎に包まれ静かな時間を過ごす場所
スウェーデンのラップランド(Lappland:北極圏以北の地域の総称)の冬は厳しい。夏は一日中太陽が沈まず薄明るい状態の「白夜」があるが、冬は太陽が昇らない「カーモス」が続く。冷えきった体を温めてくれる一杯のコーヒーは、そんな北欧の冬にはありがたい存在だ。
ラップランドのキルナにある「カフェサファリ」は、地元の人にも人気のカフェ。アンティーク調の調度品は、使い込んだ感じの温かみのあるもので、薄暗い店内の各テーブルに置かれているキャンドルの灯りにいっそう味わいを深めている。スウェーデンにかぎらず、北欧のカフェの店内にはキャンドルが置かれてあることが多い。
スウェーデンのお隣フィンランドの国民一人あたりのキャンドル消費量は世界一といわれているほど、北欧では人々の生活に欠かせないものだ。
キルナではカフェやショップの店内には音楽が流れておらず、雪深い店外からも音はほとんど聞こえてこない。
キャンドルの炎が揺らめくだけの静寂な時間。居心地のいい空間にシンプルでかわいい食器類でいただくスイーツはまた格別で、とっても贅沢なひとときである。
ココアマフィンとピーナッツバター味のチョコレートにフレークを固めたスイーツ。甘すぎないので、日本人の口にも合う。ただ物価が高いのでちょっとしたカフェでも1000円から1500円はかかってしまう。
Text & Photo by Masako Ishikawa
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フランス France
続々リニューアルするフランスのカフェ
カフェのない
フランスなんて想像できないほど、街のあちこちにあるカフェ。ふらっと立ち寄り、本や新聞を読んだり、書き物をしたり、おしゃべりしたり、自分だけのお気に入りのカフェを持っているのがフランス人。
映画「アメリ」で登場したカフェは、庶民的な風情を残した昔ながらのよくあるカフェのイメージだが、そんなカフェも年々減りつつある。
オーナーの世代交代に伴い、次々にリニューアルされ、60〜70年代にかけてつくられたちょっとキッチュなスタイルもラウンジ風ともいえるモダンなカフェに様変わりしている。
ユーロ導入でカフェの値段も上がり、カフェ離れもはじまっているとか。それでもカフェはフランス人にとって、なくてはならない憩いの場。
例えばバスティーユのはずれにある「LE PURE CAFE」は、いろいろな年代の地元の人たちが集う人気のカフェ。亜鉛板のカウンターバー、アールヌーボー風のレリーフのガラスやランプといった古き良き時代のインテリアにうっとり。
100年以上も前から根付いているこんなカフェは、時代の波にのまれることなく生き残ってほしいものだ。
ボボと呼ばれるジャーナリストなどある程度の収入をもつサブカルチャー支持層にも注目されているエリアにあるこのカフェは、リチャード・リンクレイターの映画「BEFORE SUNSET」にも登場した
Text & Photo by Kyoko Okunaga
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アメリカ America
冬も暖かいロスではつめた〜い味が人気
真冬でも気温が20度を越え、まぶしい太陽が照りつける
ロサンゼルス。「熱いコーヒーも飲みたいけれど、つめた〜いデザートもいいな」と迷うことが多い。
そんな悩みを解消するカフェがオープンして、今話題を集めている。おしゃれなブティックが集まるビバリー通り沿いにある「ミルク」がそれ。
アイスクリームパーラーを併設した新スタイルのカフェで、シンプルなデザインの店内に掲げられたメニューにはシェイクやバナナスプリットなどのいかにもアメリカンなアイスデザート約20種類の他、ホットサンドイッチ、サラダ、スープなどの軽食メニュー、エスプレッソをはじめとするコーヒードリンクがずらり。
手作りアイスクリームのまろやかな味がやみつきになり、車で1時間近くかけて通ってくるお客もいるらしい。
しっかり食事したい男の子と、デザート大好きな女の子のデート先としても好評だ。カフェとはいえないかもしれないが、「ピンクベリー」というフローズンヨーグルト店も大評判。
他店とは違う爽やかなヨーグルト味にはヘルシー志向の人を中心に熱烈なファンが多く、あちこちに支店ができている。
見た目も美しい「ミルク」のシェイク。ゴートチーズやアーティチョーク入りのサンドイッチはやや大人の味だ。/「ピンクベリー」のヨーグルトは抹茶とプレーンの二種類。フルーツなどがトッピングできる。
Text & Photo by Yukari Travis
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ベトナム Viet Nam
簡素だけど人の温もりに溢れた道端カフェが人気
ベトナムではどんな片田舎の村にも、人のいるところにカフェがある。しかも早朝から深夜まで営業しているのだ。
プラスチック椅子を2、3脚並べた屋台から、フロアごとにコンセプトを変えた大型の“バブリーな”カフェまで、バラエティは日本の比ではない。
ベトナム人の生活に深く根ざしたカフェ文化は、フランス植民地時代の名残りである。特に影響が強いのはベトナム南部。平均気温25度を越えるホーチミンに暮らしていると日本では激甘に感じるベトナムコーヒーも、不思議と体が欲してしまう。
昼下がりの束の間の静けさと生ぬるい風。気軽にバイクで立ち寄れるのは、簡素な道端カフェだ。街の開発に負けず、奇跡的に残るなじみのカフェで、話好きなご主人と道行く人を眺めながらいただく一杯は格別。
隣り合った常連客とも、ごく自然に世間話が始まる。まさに生活密着型のカフェである。
経済発展の波はカフェ業界にも迫っていて、まだ世界的なチェーンこそないものの、
オーストラリアや
イタリアのカフェが続々と出店。欧米スタイルは浸透しつつある。正直“浮気”することもあるが、断然私は道端コーヒー派だ。
店の規模により、一杯5000ドン(約35円)から、その10倍程度と値段もさまざまだが、変わらず愛され続ける定番メニュー
甘いコンデンスミルクと濃くドリップしたコーヒーは絶妙のコンビ
Text & Photo by Yoko Sakoda
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