【海外安全コラム】治安情勢は日々変わるもの

公開:2018-10-04 更新:2018/11/13


尾崎さん記事3画像1

 

海外安全コラムでは、海外で危険なことに巻き込まれないためにできること、そしてもし万が一が起きた際の対処方など、自分の身を守るためのお役立ち情報をシリーズで発信しています。

 

留学先の人気ランキング


海外にオフィスを持つ日本企業の駐在員や出張者、または海外旅行者と並び、渡航する数が多いと考えられる「海外留学」。
長期休みなどの留学先として人気の国が下記です。

 

1位 オーストラリア
2位 アメリカ
3位 イギリス
4位 カナダ
5位 イタリア


 
他に、ニュージーランドフィリピンアイルラアンドマルタが続きます。

 

留学に子供を送り出す親としては少しでも安全な都市に


夏休み期間の留学は中学生や高校生によるものが多い傾向があります。特に今年夏休みに留学した学生の数は09年以降過去最高で、子供の数が減少していることを考えると、留学経験率という点では随分と伸びているようです。

 

では、留学先はどのように選ばれているのでしょうか?複数の留学案内サイトをみたところ、次の5つくらいがポイントとして挙げられていました。

1.留学先の生活環境(都会か田舎か、語学以外にどんなアクティビティができるか)

2.語学学校のレベルや環境(日本人が多いかなど)

3.必要な費用

4.現地の天候

5.治安


 

特に中高生を海外に送り出す親御さんにとっては、その都市の治安も気になるようで、特に夏休みシーズンには、日没時間が遅く夜も明るい国が、安全面から保護者に選ばれやすいようです。なるほど、治安面も踏まえて判断されているのは海外での安全管理が重要です!と発信いている我々にとってもうれしい情報ですね。
ただし、治安がよいと考えられている国、例えばカナダでも、安全だから安心して送り出せる!と信じ切ってしまう点には落とし穴もあります。我々が8月4日にツイートした内容とリンク先の統計も見てみましょう。

 

【参考情報】 ここ1カ月ほど、 カナダでの銃撃事案ニュースの多く接しています。事実トロントでは今年の銃撃事件は既に233件、被害者数は316人となっており、過去5年間で約2倍になっています。
トロント警察が発表している銃撃事件数。
 

尾崎さん記事3チャート
トロント警察が公表している管轄地域内での銃撃事件数(緑)と被害者数(橙)。2018年は8月までの集計。

 
こちらは人気の留学先トロントで、現地警察が集計した銃撃事件の数です。2018年はまだ8月半ばまでの集計であるにも関わらず、銃撃事件の数が既に前年の事件数を超えています。被害者数も既に昨年とほぼ同じ水準になっており、恐らくは前年を超えてくるでしょう。(ツイートした8月4日からの約一か月でも事件数、被害者数共に約30ずつ増加しています)2014年からの5年間で、銃撃事件の数、被害者数ともに二倍以上になっている点は注目に値します。

 

2014年や2015年の状況であれば、トロントは「まぁ治安面では大丈夫だろう」、と判断できたでしょう。しかしその当時から2倍以上銃撃事件が増えています。この事実から、考え直したいと思う親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

 

治安情勢は常に最新の情報にアップデートしましょう


トロントが現時点で「危ない」とお伝えするという意味ではありません。留学の専門家ではありませんが、留学先として上記5つの条件を考えた際、トロントやその他のカナダの都市よりも適した都市があまりないと素人なりに感じます。

 
お伝えしたいのは、大切なお子さんを留学に送り出す際、留学先を決める前に現地の最新治安状況を調べてから判断して欲しい、という点です。きっとある程度の国や、各都市の安全に関する「イメージ」があると思います。しかし、治安情勢というものはとにかく変化が速いのです。その「イメージ」は現実とは異なっている可能性があります。治安の状況が変われば必要な安全対策も当然変わりますし、留学先の選定にも当然影響するでしょう。

 

治安に関する情報は変わりやすい、ということを忘れることなく、日ごろから関係する情報を集めて欲しいと思います。出張や旅行で訪れる国・都市の情報はもちろん、留学先の候補都市の情報収集を続けることで、より実態に近い、現地の安全情報が把握できると思います。
 

尾崎さん記事3ゴルゴ
外務省海外安全HPにて公開中の安全対策マニュアルより抜粋

 
 

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安全はどの留学スタイルで渡航するにも必要なものです。しっかりと準備をして出発しましょう!
 
 

この記事を書いた人

海外安全.jp 代表
2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練も受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立し、現職。

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