ボーディングスクールってどんなところ?

公開:2019-11-14 更新:2019/11/14

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ボーディングスクールは、日本語でいうと寄宿学校のことです。全ての生徒が寮生活を送る場合と、通学する生徒もいる場合とがあります。ホームステイ先から通学する留学とはまた違った魅力のある寮生活をしながらの留学生活、ボーディングスクールについてご紹介します。

ボーディングスクールってどんな学校?

ボーディングスクールとは、さまざまな種類がありますが、寮を持つ私立学校の総称で、生徒を24時間サポートします。全寮制の学校もありますが、通う生徒の50%〜85%が寮生でキャンパス内で生活しているというボーディングスクールが多くなっています。小学生から受け入れ可能な学校や、中高一貫の6年制、中3から高3までの4年制などがあります。
広大な敷地を誇る緑豊かな学校が多く、手厚い教育環境に恵まれた中で生徒は学んでいきます。全ての学校で全教師がというわけではありませんが、大半の教師は寮やキャンパス内に暮らし、放課後も生徒たちの生活をサポートしています。
生徒は世界中から集まり、それぞれのバックグラウンドや考え方を持つ仲間との時間を共有しながら生活することで、総合的な人間力を養うことができます。

大学進学を目指すものからアートスクールまでさまざま

−−ボーディングスクールにはどんなものがあるの?
一言で「寮の設備がある学校」と言っても、さまざまな種類のボーディングスクールがあるので、どんなものがあるのかご紹介します。

大学進学を目標としたプレップスクール(College Preparatory School)

このタイプの学校は、大学進学を目指す生徒が多く、大学進学用のカリキュラムやプログラムを提供しています。大学進学に伴うさまざまなカウンセリングも充実し、専門のカウンセラーが生徒たちをサポートしてくれます。そのため生徒たちの卒業後の大学進学率はほぼ100%です。

ミッション系スクール(Church School)

カリキュラムの中に、必須科目として宗教(聖書)の学習を組み込んでいる学校で、特定の宗派によって運営されている場合が多いです。入学を希望するにあたって宗派は問いませんが、礼拝への出席を義務付けていることもあります。この学校の場合には、教会などからの支援を受けていることが多く、プレップスクールと比べると費用が抑えられる学校もあります。

ミリタリースクール(Military School)

アメリカの退役した軍人などによって運営されている学校のことで、日本にはあまり馴染みのない学校かもしれませんね。ボーディングスクールとしてのミリタリースクールはすべて普通の高校と同じカリキュラムをもつ私立高校です。特徴としては、学校生活は制服着用で規則正しく、部屋の整理整頓や集合時間などの厳守、食事のマナーなどは通常のボーディングスクールよりも厳しいと言えるでしょう。卒業生の多くが通常の大学に進学し、もちろん兵役の義務や進路の指定は一切ありません。

芸術系学校(Art School)

より多く美術や音楽、演劇、ダンスなどの勉強ができるのがこのタイプのボーディングスクールです。各学校によって得意とする芸術分野が違いますが、卒業生の多くが芸術大学へ進学します。学校によっては、出願時にオーディションを受けなければならないところもあります。
特にアメリカのボーディングスクールでは、芸術系のカリキュラムや設備がとても充実しており、自由な発想、表現力やパフォーマンスは、教育の中で重視されています。独創性は、芸術以外の分野でも生かされると考えられているからです。

スモールボーディングスクール(Small Boarding School)

生徒が少人数のボーディングスクールのことで、在籍学生数が200名以下の学校を指します。 大きな特徴として、ESLが充実している学校が多く、アットホームな生活環境を提供しています。個人へのサポート体制がよりきめ細やかなことが多く、英語力が低かったり不登校などの問題を抱えている生徒にも丁寧に対応してくれます。留学生にも安心のボーディングスクールでしょう。

男子校/女子校(Single Sex School)

男子校と女子校に分かれているボーディングスクールのことです。それぞれの性別に適した教育方法を取り入れていることが多く、男子校はスポーツの強豪校であったり、女子校はバレエなどのダンス、音楽、絵画、陶芸などの芸術クラス、そしてスポーツでは乗馬のプログラムに力を入れている学校が多いです。
学習環境の充実と安全性はもちろんですが、異性に気を使わずに勉強に集中できると考え、入学を希望する生徒もいるでしょう。

 

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他にも、9年生までを受け入れているジュニアボーディングスクール、国際バカロレア教育を持つ学校など、ボーディングスクールには特徴的で個性的な学校が多いので、興味を惹かれる学校がきっと見つかるでしょう。映画ハリーポッターに出てきた学校も、魔法を教えるボーディングスクールでしたね。

英語力だけでなく、国際感覚と仲間意識が身につく

−−海外のボーディングスクールで学ぶことのメリットは?
まずは英語力がつくということでしょう。普通の留学の場合、現地の家庭にホームステイをしながら学校へ通います。ホストファミリーとの会話でも英語力はつきますが、ボーディングスクールでは学校ではもちろん、日常生活でも常に同級生や上級生、下級生と一緒に過ごします。同世代とずっと一緒に時間を過ごすことで自然と会話も増えます。
さまざまなバックグラウンドをもつ留学生との交流で、多様でリアルな文化に触れることができます。真の英語力と他国の文化を理解する力が育ちます。
1クラスの人数が少ないので、一般の公立校などに比べ生徒一人ひとりに先生の目が行き届きますね。

寮生活をするということは、親元から離れて自分の身の回りのことは自分でやるということになります。食事は用意する必要はありませんが、掃除や洗濯、身支度などは自分でやらなければいけません。学校内だけではなく寮でもスケジュールがあると思いますので、時間の管理、自己管理、そして自己責任を自然に身につけることができます。

豊富な課外活動もボーディングルクールのメリットです。週末などには、季節ごとにさまざまなアクティビティが用意されているのでクラスメートと参加することができます。ホームステイでもホストファミリーがどこかへ連れて行ってくれたりするかも知れませんが、学校が年代に応じて考えてくれたアクティビティであれば、興味のあるものを揃えてくれている可能性も高く、きっと楽しく過ごせるでしょう。
スポーツや芸術、音楽、ボランティアなどの多様な活動に参加し、学業だけに偏らない生活を送るように考えられています。

年齢にとらわれない個々の能力を引き出す授業が行われるのも、ボーディングスクールの良い点です。生徒それぞれの興味や学力レベルに応じて授業を選択することができ、授業が行われる教室に生徒が移動する、大学のようなスタイルで行われます。国際バカロレアや、高校に在籍しながら大学レベルの授業が受けられるAP (Advanced Placement) コースなどを受けることもできます。
※システムは学校によって異なりますので、事前に調べましょう。

寮生活ってどんな毎日なの?

学校によって寮でのルールやスケジュールは異なりますが、やはりホームステイ先や自分の家で生活するよりは、時間を気にして生活する必要はあります。
むしろ、規則正しい生活が身につく良い場でもあります。最初は少し窮屈に感じると思いますが、寮生はみんな同じ規則やタイムスケジュールに従って生活しているので、きっとすぐになれることでしょう。寮内で行われるアクティビティで楽しい時間も過ごせますし、勉強時間が設けてあると、そこで集中して宿題などの取り組めます。ONとOFFとをうまく切り替えて生活できるので、充実した毎日が遅れそうです。
スイスのボーディングスクールの平日のサンプルスケジュールがこちらから確認できます。

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自分にあったボーディングスクールを探そう!

ボーディングスクールにも、色々な特徴を持ったものがあるとわかっていただけたと思います。では、どうやって希望の学校を見つけるのでしょう。
入学する生徒の性格、留学の目標や将来の夢、英語力、学力などを考慮した上で、最も適した学校を選ぶ必要があります。有名だから、評判がいいから、多くの難関大学への合格者を出しているから、などの理由ではなく本当に自分にあった学校を見つけるようにしましょう。

学校を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
・学校の規模、全校生徒数
・寮生と通学生の比率
・留学生の数(偏った国籍はあるか)
・その学校がある国もしくは地域
・ESLクラスがあるのか、そのレベルはどうか
・年間の費用
・課外活動の内容や費用
・学校の設備
・カリキュラム(何学期制なのか、週5日制か6日制か、APコースの数、科目数など)
・卒業生の進学実績

ボーディングスクールへの留学先として人気の国

アメリカ

アメリカには300以上のボーディングスクールがあるので、希望条件に合った学校を見つけることができます。多くが東海岸にありますが、もちろん他の西側の州や他の州にもあります。のんびりとした場所にあるボーディングスクールもありますので、探してみると良いでしょう。
すでにある程度の英語力があれば、The Ten Schoolsと呼ばれる、歴史的にも学術的にも権威のあるボーディングスクール10校への入学も目指せます。The Ten Schoolsは最難関の名門校として知られています。

イギリス

イギリスには500以上のボーディングスクールがあります。そのほとんどが私立ですが、公立の場合、受け入れはイギリス人とEEA(欧州経済地域)からの学生に限られますが、授業料は国が負担するので無料。寮費のみの費用でよくなります。
公立私立ともに高い教育水準を誇りますが、授業料の収入がある分、設備面では私立の方が充実しているでしょう。
GCSE、Aレベル、国際バカロレア(https://anokuni.com/glossary/)など、国際的に認められている資格の勉強ができる学校が多いのもイギリスの嬉しいポイントです。

マレーシア

アジア圏の国の中で多くのボーディングスクールがあるのはマレーシアです。そして、その多くがイギリス式の教育を行っています。入学にはインターナショナルスクールよりも高い英語力が必要ですが、イギリスのボーディングスクールに行っているのと同じ教育がマレーシアで、安く受けられるというメリットがあります。

一番の気がかりは学費

−−では最後に、知っておくべきボーディングスクールのデメリットは何でしょう。
・ボーディングスクールの費用は高額なところがほとんどで、学費(寮費込み)で年間およそ500万円から700万円。スイスなどは1000万円以上するところもあります。比較的安いアジア圏のマレーシアなどでもおよそ300万円から500万円はかかるでしょう。
・すぐに帰れる場所にありませんし、飛行機代もかかります。頻繁に帰省できないので、家族のイベントなどへの参加は難しいでしょう。
・寮生活での規則などや集団生活に慣れず、自分の時間が作りにくい。

サマースクールという選択肢

ボーディングスクールへ1年間通った場合の学費は、かなり高額になります。そのため、夏休みなどの長期休暇を利用したサマースクールに参加することもできます。
実際の教室で授業を受け、寮に滞在し世界各国からの参加者と過ごします。入学を迷っている人も、まずはサマースクールでその雰囲気を体験するのも良いですね。

日本にもあるボーディングスクール

近年、日本でもボーディングスクールが注目されてきており、全国各地で開校、もしくは予定されていますので、いくつかご紹介します。
・国際高等専門学校(石川県白山市)2018年開校
 https://www.ict-kanazawa.ac.jp/

・インターナショナルスクール・オブ・サイエンス高校(神奈川県、2020年に開校予定)

・白馬インターナショナルスクール(長野県白馬村、2020年に開校予定)

・神石インターナショナルスクール(広島県神石高原町、2020年に開校予定)
 https://jinsekikogen.co.jp

この記事を書いた人

「あの国で留学」の編集チームは全員が留学経験者。留学会社に勤務し実際に留学を希望する人のカウンセリングを行ったメンバーもいます。留学へ行きたいと希望する人の気持ちもわかり、実際に行った経験からどんな情報があったらいいかも熟知しています。留学を希望するすべての方に役立つ情報を発信していきます!

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