公開:2014-04-24 更新:2019/02/15
「東京生まれ・東京育ち」の高橋さんが経験した、たくさんの海外旅行や、アメリカ留学では味わえなかったもの。それは、自然の恵みや動物との触れ合い。牧場に滞在できるファームステイに漠然とあこがれていたとき、偶然見つけたのが「あの国特派員」のプログラム。
しかも以前から気になっていた、ニュージーランド(NZ)でのファームステイ。さらに、その締め切りが自分の誕生日! と、いくつかの偶然と喜びが重なり、応募したそうだ。 初めてのファームステイにわずかな不安を感じていたようだが、NZに住む人や多くの動物、広大な自然に触れたい! という純粋な気持ちのほうが勝り、今回のプログラム参加につながった。
どの国や地域にも独特の香りがあり、初めて降り立つ地では、それを体感することが旅の楽しみのひとつ。ところが、夏の終わりのNZは天気が不安定。香りを楽しむ間もなく、大雨にビックリしながら、ホストファミリーのもとへ向かった。
今回お世話になったのは、オークランド市内から車で40分ほどのワイトキに暮らす一家。ホストファザー、ホストマザー、男の子が3人の5人家族で、みんな明るく親切。育ち盛りの子どもたちは、やんちゃな上に元気いっぱい。ホームステイは初めてで緊張していたけど、人懐っこい子どもたちのおかげで、打ち解けることができた。
大自然の中にあるファームは、牛3頭と羊7匹、鶏10数羽を飼育しているごく家庭的なもの。家族にはそれぞれ役割があり、動物の世話は子どもたちの仕事だ。ステイ中は、私も手伝うことになっていて、長男のルイスが丁寧に教えてくれた。 子どものころは、さまざまなアレルギーを持っていたため、自然の中で過ごすことや、動物と触れ合うことが得意ではなかったけれど、今は、自然に包まれていると心も体もほぐれ、癒やされることを知り、大好きな時間に変わってきた。
ファーム内には、ホストファザー手作りの遊具が点在し、敷地のすべてが子どもたちの遊び場。家も広く、庭も広大で森林探検ができるほどだ。森(庭)では、自生しているブラックチェリーを食べたり、手作りの野菜を育てたり、身の回りの自然を利用し、共存していることに、好感を持った。
今日は、日本を出発する前から申し込んであった、アクティビティを体験する日。ステイ先から車で走ること1時間。白砂の美しいパキリビーチでホースライディングに挑戦する。この日の天候は、暑すぎず涼しすぎず、乗馬をするには最高のコンディション。馬には何度か触ったことがあるものの、乗馬は今回が初めて。馬はとても頭のいい動物で、人の気持ちを読み取るらしく、不安がったり曖昧な指示を出すと、馬のペースに巻き込まれ、勝手に走られてしまう。
私の乗ったビリーは気まぐれな子で、なかなかうまく乗りこなせなかったが、ガイドの女の子が始終気にかけてくれてリラックスできた。彼女は、カナダからワーキングホリデーで来ているそうで、乗馬をしながらも、お互いの夢や将来のことを話したり、有意義な時間を楽しんだ。
森林を駆け抜け、高台から青い空と海、真っ白な砂浜を一望したときは「ここまで来て、本当によかった」と、心の底から思える瞬間だった。
別の日は、ほかのアクティビティにも参加してみようと思い、バスに乗って市内にあるラストリゾートの現地オフィスへ向かう。ここでは、日本人スタッフが常勤しており、親切、丁寧に相談にのってくれる。いろいろ話した結果、『ランギトト島』や『ワイトモ&ロトルアツアー』など、NZでしか味わえないものをチョイス。美しい景色を思う存分堪能した。
多くの留学生が海外生活をする上で、避けて通れないのが言葉の壁だ。親切なアドバイスで支えてくれる現地スタッフは、日本人留学生の心強い味方だと感じた。
ステイ先の夜はとても静かで、聞こえてくるのは虫の鳴き声だけ……、旅先とは思えないほどぐっすり眠れる。学校がお休みの日曜日は、子どもたちと一緒に庭のプールでひと泳ぎ。庭にプールがあるなんて夢みたいな世界。遊びすぎて疲れたのか、プールサイドで熟睡してしまう。
サマータイムを導入しているNZは、19時半を過ぎてもまだ明るい。20時頃から暮れはじめ、日没には数えきれないほどの星が輝き出す。南十字星もキレイだったが、生まれて初めて見た天の川は、息をするのも忘れてしまうほど幻想的で美しく、一生忘れることができない思い出となった。
最終日は夜通しの嵐。天気が良ければビーチを散歩しようと決めていたが断念。ホストマザーの提案で、ショッピングモールへ行くことにする。
こちらのカフェでは本格的なコーヒーを提供してくれる。この日はマザーのおかげでコーヒー好きの私も納得! のカフェと、ショッピングを楽しんだ。
ホストファミリーをはじめNZで出会った人たちは、みんな気さくでフレンドリー。自分を必要以上に主張したり、一方的に押し付けたりすることがなく、どこか日本人の気質に似ている気がする。ホームステイは初めてだったけど、NZの人のおおらかさや、広大な自然と動物との触れ合いは、都会暮らしの私に良い刺激を与えてくれた。今回の旅は、自分と向き合い、周りの人への感謝の気持ちを再確認する貴重な時間となった。
高橋昌子さん
海外旅行やアメリカ留学で、自分の知らない世界が存在することを肌で感じてきました。本当の豊かさや、幸せが何かを探し、伝えたいですね。
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