海外安全コラムでは、海外で危険なことに巻き込まれないためにできること、そしてもし万が一が起きた際の対処方など、自分の身を守るためのお役立ち情報をシリーズで発信しています。
海外への留学経験は留学するご本人が主役です。ただ、本人の熱意や行動力だけでは留学はできません。情報を集めたり、資金を提供したり、現地の生活を陰ながら支えたり、といった裏方役を担うご両親の役割もまた極めて大きいのではないでしょうか。
お子さんが海外留学する際にご両親が抱えるご心配のランキングは次の通りだそうです。
1位 留学費用について(35.4%)
2位 滞在環境について(生活環境・治安等)(21.6%)
3位 留学エージェントについて(15.9%)
4位 留学後の就職・進路・進学について(12.2%)
※あの国で留学調べ
みなさん似たようなことを心配されているのではないでしょうか?これらのご心配を一つ一つお子さんと相談しながら解消していくことが海外留学成功の秘訣になりそうですね。
小学生や中学生の短期海外体験プログラムは別として、高校生や大学生の留学の場合はこうしたポイントをお子さんご自身にしっかりと調べてもらうことが必要だそうです。ただ、高校生や大学生が留学について親を説得するポイントとして多くのHPに掲載されているのは資金面や留学で得られる成果、の両面がほとんど。送り出すご両親が二番目に心配されている生活環境や現地の治安(安全対策)について、自力で調べられるよう案内しているウェブサイトはあまり見当たりません。日本よりも安全な国はほとんどありませんので、あえて期待に胸を膨らませている状態に水を差したくないのかもしれませんね。(このあたりはご心配要素の第3位、留学エージェントへの不安につながっているのかもしれません)
親子で考えることが大事
留学に向けて一生懸命準備をし、現地でも精一杯勉強を頑張ったとしても、留学中に万が一テロや犯罪の被害に遭遇してしまうとすべての努力が無に帰してしまう可能性もあります。特に、日本は世界的に見ても極めて安全な国ですので、高校生や大学生が自発的に現地治安情勢を心配する機会はほとんどないですよね。
こうやって考えていくと、留学を前に、現地生活のイメージを膨らませているお子さんにご両親があえてお子さんに「この情報も調べて考えなさい」と言えるとすれば、それは治安に関する情報なのではないでしょうか?
とはいえ、ご両親もお子さんが留学したいと思っている国の治安情勢をどのように調べればよいのかわからない、という方も多いと思います。お子さんに「この情報も調べてみなさい」と言っていただくためにも、外国の治安情勢を調べやすいサイトをご紹介したいと思います。こちらで紹介したサイトなどを親子で確認しながら、お子様に「現地で安全に過ごせるかどうかもよく調べるように」と留学するか、しないか、するならどこに行くのか、を考えてもらうのはいかがでしょうか?
安全や治安は国によって見解が違う?!
まずは
基本的な治安情報の調べ方のサイトをご確認ください。日本政府外務省の公式な情報がまとまっている海外安全HPを紹介しています。(なお、外務省が運営する
「たびレジ」では留学するご本人のみならず、送り出すご両親のメールアドレスを『簡易登録』しておけば、お子さんが駐在している国・地域の治安情報を日本でも入手可能です)
ただし、日本政府外務省の海外安全HPだけ見ておけば大丈夫、というわけにはいきません。日本政府と同様、アメリカ政府、イギリス政府、オーストラリア政府等も自国民に向けたトラベルアドバイスを公表しているのですが、実は日本政府と治安に関する見解が違う国・地域が多いのです。留学先として検討する国・地域がある程度固まってきたら、複数の政府が一般公開している治安情報を比較してみることもおススメです。
☆ アメリカ政府
☆ イギリス政府
☆ オーストラリア政府
「あの国で留学」の留学先人気ランキング上位国の国別安全情報比較ページ
各国の詳細情報を見ている時間がない、英語で治安情報を読む自信がないという方には日本語で各国の治安情報を比較しているサイトをご紹介しておきます。
1位オーストラリアの
安全情報
2位アメリカ安全情報
3位イギリスの
安全情報
4位カナダの
安全情報
5位イタリアの
安全情報
6位ニュージーランドの
安全情報
7位フィリピンの
安全情報
8位アイルランドの
安全情報
9位マルタの
安全情報
10位ハワイの
安全情報
さらに、お子さんにはぜひとも留学(希望)先を管轄する日本大使館のHPも確認するようにお伝えください。最初に紹介した外務省の海外安全HPと同じ外務省に属する組織ですが、東京の霞が関ではなく各地の大使館や総領事館が現地情報を反映しながら独自に更新している点が特徴です。
つまり、外務省海外安全HPの長所である1)信頼できる、2)日本語の、という点はそのままに、3)地元密着、という長所が加わっている情報源が各国在外公館HPの強みなのです。
実際の掲載情報をフランスの事例で確認してみましょう。
外務省の安全HPでは国全体の治安情勢がざっと記載されているだけでしたが、フランスの場合、特にパリに観光客が集中するためか、パリ市内での様々な被害の報告が生生しく掲載されています。また、パリ警察が作成した日本語版の安全パンフレットがPDFで掲載されているなど、まさに「地元ならでは」の情報がてんこ盛り。パリに留学するのであれば、日本で必ず見ておきたい情報が掲載されています。
現地で一定期間暮らすお子さんにとってその地で暮らす日本人の保護を担う大使館や総領事館は、万が一の際の「駆け込み寺」にもなります。留学前に困った時には大使館や総領事館に相談しよう、大使館や総領事館のHPは自分の身を守るために役立つ、ということを認識してもらう意味もありますね。
「在留届」を出しておこう!
最後になりましたが、留学に送り出す直前、お子さんには必ず「
在留届」を提出するように念押ししてください。
在留届は海外に住む日本人にとっての住民届のようなもの。日ごろから現地の大使館・総領事館から治安情報がタイムリーに入手できるようになるほか、万が一大規模なテロが発生した場合でも「在留届」を提出している日本人については、大使館・総領事館が安否確認を行ってくれます。加えて在留届に記載の日本国内連絡先をご両親にしておけば、必要に応じ安否確認結果などを情報共有してくれます。
これらは税金で運営されているサービスです。追加の料金は一切かかりません。紙を一枚出す(HPからも提出可能です)だけで、日本政府の提供するサービスを受けられるかどうかが分かれるのであれば、「
在留届」を出さないという選択肢はないのです。
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留学スタイルで渡航するにも必要なものです。しっかりと準備をして出発しましょう!