「アフリカを体験しませんか?」
こんなタイトルのイベントが、10月19日(日)東京・青山で行われました。西アフリカにある国“リベリア”をテーマに、アフリカの音楽や料理を体験。そして、いまリベリアで猛威をふるっているエボラウィルスについて知ることができるイベントです。
日本からの渡航者数も少なく、日本大使館もないリベリア。(※注)今日は、このアフリカ体験イベント『エボラ緊急支援チャリティパーティ@青山「アフリカを体験しませんか?」』の取材レポートをお届けしながら、リベリアってどんな国なのかを知ってみましょう!
リベリアはアフリカ最貧国のひとつ
リベリアはギニア、シオラレオネ、コートジボワールと国境を接する西アフリカの国。アフリカには珍しく、どこの植民地にもなっていない唯一の国で、1847年にアメリカ合衆国から奴隷解放された人々により建国されました。
1989年から2003年まで14年もの間、長い内戦を経験。多くの人命と国力を失ったリベリアでしたが、もともとリベリア人はガッツのある国民性です。いま、国は悲劇を乗り越えて徐々に力を取り戻している最中です。
イベント会場にはリベリア女性のドレスが飾られていました。熱帯雨林気候らしい、鮮やかな色合いですね。
代表的な料理はキャッサバという芋。会場ではキャッサバの煮込みがビュッフェスタイルでふるまわれていました。住民にとってのごちそうは、森林の野生動物。ブッシュミートと呼ばれるサルやコウモリなどを狩りで仕留めた日はうれしい食卓となります。(これは会場ではさすがにふるまわれませんでした!)
コウモリの肉がウィルスを拡大
ところが、このごちそうがリベリアに新しい悲劇をもたらしてしまいました。ブッシュミートのなかでもコウモリの肉は、エボラウィルス源のひとつと疑われているのです。当然、リベリア政府はブッシュミート料理を国民に禁止しました。しかし、長い内戦と貧しい経済のなか、国民は政府の言うことをあまり信じていません。「エボラなんて存在しないサ。政府がオレたちをだまそうとデマを流してるんだ。」そんな風に信じてる人も少なくありません。
また、「土葬」の文化も、ウィルス拡大に拍車をかけました。リベリアでは「死者は復活する」と考えられています。だから、火葬にはしません。葬るときは、遺体をきれいに洗ってから土に還してあげるのが風習です。しかし、エボラウィルス病で亡くなった場合、ウィルスの量が最大値に達するのが死亡時。埋葬を通じて、家族や親戚が感染してしまうのです。
さらに、今、問題視されているのが「タクシー」です。
首都モンロビアの足は乗合タクシーです。タクシーに乗った人がウィルスを持っていたとしても、乗降のたびに車内が殺菌消毒されるわけではありません。そうしてタクシーは生きたエボラウィルス菌を乗せて街から街へと運んでしまうのです。
参加者同士の小さなチャリティー
イベントに来た人たちは、無料の参加費の代わりに思い思いの金額をチャリティーボックスに入れて募金をしました。集まった支援金は、主催した民間団体「ダイヤモンド・フォー・ピース」がリベリアの病院はじめ、タクシー運転手たちに配る殺菌消毒薬や衛生用品のために使うため現地に届けるそうです。
日本語での情報が少ないリベリア。でも、そこに住んでいる人たちは、私たちと同じ地球に暮らす隣人です。
2014年10月17日現在のWHO(世界保健機関)発表によると、リベリアにおける患者数は4,262人、死者の数は2,484人。リベリアの人たちに明るい笑顔が戻り、お互いに旅行し合える日の復活を願って、私たちにできることは何だろう。参加者それぞれが、そんなことを感じるイベントだったのかもしれません。
注:この記事は2014年のものです。2014年には、在ガーナ大使館が兼任。