【留学体験レポート】政府公認校で学ぶ本格バリエステ

公開:2013-07-18 更新:2019/06/05

 

梅津さんが勤務するリラクゼーションサロンには「バリ風マッサージ」というメニューがある。にもかかわらず、一度もバリ島に行ったことがなかったので、お客さんに何かきかれても答えることができなかった。なかにはバリ好きなお客さんもいて、バリ島の楽しさを話してくれるのだが、そういった話にもついていけない。

そんなジレンマから一度はバリ島に行ってみたいと思っていたところ、たまたま見つけた「あの国」特派員募集の記事。「バリ島に行けるうえに、本場のマッサージまで習えるなんて」と、運命的なものを感じて応募したそうだ。

研修先は、アビアン・スパ。エステティックアカデミー

フットマッサージの練習。先生が先に手本を見せてくれる

入校式で先生や研修生と顔合わせ。 みんな優しくて親切なので安心した。 学校に行ってまず驚いたのは、生徒ひとりにつき専属の先生とモデルがつくということ。 滞在中、ずっと同じ先生に教えてもらえるから言葉があまりわからなくても、だんだんとコミュニケーションがとれるようになる。

日本人スタッフの方も通訳として各部屋を回ってくれるので、難しいことも先生にきいてもらえる。 日本では考えられないほどの贅沢な環境に感激した。 みんなに支えられているかと思うと、頑張らなくてはという気持ちがますます強くなった。

先生の手から伝わる力強いエネルギー

受講したのはトラディショナル・マッサージのコース。 初日には楽しみにしていたフルコース体験もあり、担当のアニ先生自らが私にマッサージをしてくれた。 初めてバリの人からマッサージを受けて感じたのは、その力強さ。 先生のエネルギーが直接入ってくるような気がしたほどだ。

 

空き時間には友だちと交代でマッサージの練習

 

やはり日本のマッサージとは違う。 いちばん違うのは”手の使い方”だろうか。 肌にグッグッと入り込むような手。 技術以前の問題もあるのかもしれないけれど、できるだけたくさんのことを学んで帰りたいという気持ちから、つい先生の手をじっと見つめてしまった。

マッサージを受けている間も手順を覚えなくてはならないので、一生懸命頭で追っていたのだけれど、あまりの気持ち良さにだんだんと頭がぼうっとしてくるのがわかる。

これが本場のバリ式マッサージの実力なのかも。

文化の違いにとまどいながらも集中して手順を頭に叩き込む

 

 

おおらかな島民性を持つバリの人たちは、日本人のようにいちいち細かい理由を求めたりしない。 たとえばマッサージ中の動きにしても、「どうしてそんなふうな動線になるのだろう?」と深く考えてしまう私に対して、返ってくる答えは「ティダ アパアパ(ノープロブレム)」。 けれどそれは決していい加減ということではなく、オイルの置き方にまできちんとした決まりがあって、これを守らないと試験には通らない。

マッサージ中は時計を見ることも許されず、自分の体で覚えた体内時計で判断しなくてはならない。 試験のときには誤差5分以内に収める必要があるのだ。”態度”という項目まである。 日本とはまったく違う、おおらかな中にある厳しさに最初はとまどったけれど、ここまで来たらとにかくやるしかない。

夕食後も友だち同士で反復練習に励んだ。

レッスン後は食事や買い物に。クタへ行って、気分転換

仲良くなった友だちとフリータイムの過ごし方を相談中

 

ホテルの部屋は、トイレとバスルーム付き。 ひとりでダブルベットを使えるのも嬉しい。 ミネラルウォターや果物まで部屋に置いてあった。

 

せっかくバリに来たので、レッスン後は観光客でにぎわうクタへ買い物に行ったり、ホテルから5分ぐらいのところにあるビーチへ朝日を見に行ったりと、時間が許すかぎりバリを楽しんだ。 バリは物価が安いので、外で食事をしても150円もあれば満腹になる。 バリに来て一万円分の両替しかしていないのに、お土産をたっぷり買ってもまだお金が残っている。

すばらしい仲間に囲まれて最高に充実した毎日を送る

卒業式が終わって、先生たちと一緒に記念撮影

 

いよいよテストの日が来てしまった。 朝からずっと緊張していたが、先生と話していたらリラックスしてきて、本番は落ち着いてできた。

一週間では難しいテストだと聞いていたので、テストに合格したときには涙が出るほど嬉しかった。 先生やモデルさん、スタッフのみなさんなど、周りの人たちに支えられて手にした合格証だ。

でも、それと同じくらい嬉しかったのは、たくさんの友だちができたこと。 同じ目標を持ちともに頑張った仲間は、何物にも代えがたいと思う。

二十代後半になると新しい友だちができることは少なくなってくるから、ここでの日々は本当に宝物のようだ。 みんなと別れるのがとてもつらい。 日本に帰ってからも連絡を取り合おうと約束した。

新しい自分を発見できた一週間の貴重な体験

バリの伝統的な舞踊レゴンダンスショーの踊り子さん

消極的というわけではないけれど、受け身な生き方をしてきた私。 それがこの一週間の体験を通して、自分の違う面を発見することもできた。

そこには、知らない人に自分の方からどんどん話しかけたり、市場のおばちゃん相手に値切ったり、積極的になれる自分がいた。

 

やろうと思えばひとりで海外に行って、こんなことまでできるのだ。 だったら、これから先もなんだってできるはず。 そんなふうに思えたとき、自分の可能性が広がったようでとてもワクワクしてきた。

また、今まで仕事場で積み上げてきたものは間違っていなかったと、実感できたのも大きな収穫だったと思う。 今回参加することができて、本当に良かった!

 

(撮影/Tambo Tao 文/Tambo Tao)

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