公開:2018-11-01 更新:2019/03/15
留学に必要な手続きといえば、パスポートや学校の入学申請。 そして、忘れてはならないのが、健康診断と予防接種。 面倒だと後回しにしていたら、大変なことに!?
学校によっては、入学申請の際に「健康診断書」や「予防接種証明書」を求められることもあります。つまり、これがなければ入学許可証も、学生ビザももらえないというほど重要なものなのです。それなのに「面倒だから」という理由で後回しにされがちです。 健康診断は、診断後、万一再検査が必要になったり治療が必要になった場合に備え て早めに済ませておくに越したことはあり ません。予防接種も、一定の間隔をあけて複数回接種しなければならないものもあり、後回しにしていたら入学手続きが間に合わないということも。留学すると決まったら、なるべく早く医療機関に相談しましょう。
予防接種に関しては、もっとも厳しいのは米国。州や学校によって必要な予防接種 は異なりますが、必須(required)ワクチンはMMR(麻疹、おたふく風邪、風疹の3種混合)、Tdap(破傷風、ジフテリア、百日咳の3種混合)と結核検査があります。結核検査はツベルクリン反応で陽性だった場合に胸部レントゲン検査も必要です。渡航前に間に合わなければ現地で接種しなければなりません。また、一つでも 足りないとキャンパス内に足を踏み入れることすら許されない場合も。
一方、推奨(recommended)ワクチンは髄膜炎やB型肝炎などがあります。現地 で病気をするのは心細いですし、慣れない海外の医療機関にかかるのは不安なものです。予防接種によってそれらの不安が解消されるのであれば、しておいて損はないでしょう。 行く先によっては、必須でなくてもA型 肝炎、腸チフス、狂犬病などの予防接種を受けておくことをおススメします。
必須あるいは推奨とされている予防接種の中で、既に接種したことのあるものは、接種しなくていい場合があります。過去の予防接種の記録は母子手帳に記載されているはずなので、医療機関を訪ねるときは、必ず母子手帳を持参しましょう。また、一度留学したのち、別の国に留学する場合、新たに必要となるワクチンだけ を接種すればいいので、以前の予防接種証明書はコピーをとって保管しておきまし ょう。
海外の大学が指定している予防接種の中には、国内の一般的な医療機関では扱って いないものもあります。二度手間を防ぐために最初から、輸入ワクチンを扱ってい る医療機関を訪ねることをおススメします。「トラベルクリニック」と銘打ってい る、あるいは「海外予防接種対応」「留学診断書対応」「英文診断書作成」などを謳っている医療機関なら間違いありません。
これらの医療機関では、渡航日から逆算して予防接種のスケジュールを組んでくれます。予防接種の中には、複数回接種が必要なものもあるので、遅くても1カ月から 1月半前には医療機関に相談しましょう。 近くの「トラベルクリニック」を探すに は、こちらのサイトがおススメです。 FORTH(厚生労働省検疫所)
風邪薬、胃腸薬などは、自分の体質に合ったものを持っていきましょう。海外の薬局で市販している薬は、日本人にとっては用量が多すぎる場合があります。また、他人から薬をもらわないこと。違法薬物の中には、一般薬との見分けがつかないものもあるからです。
38℃以上の発熱や、下痢・腹痛など、体調が悪いときは病院に行きましょう。帰国後も1年以内は何らかの感染症にかかっている可能性もあります。受診する際は感染症の専門医または医師に海外にいたことを伝えましょう。
発展途上国では水道水は飲まないこと。先進国の場合は衛生面では問題はなくても、水質が異なる(日本の水道水は軟水、海外ではマグネシウムなどを多く含んだ硬水のことが多い)ため、人によってはお腹をこわすことがあります。
水道水が不衛生な発展途上国では、氷入りの飲料や、水道水で洗った可能性のあるカットフルーツや野菜を食べるのは危険です。生の魚や肉も絶対に食べないこと。しっかり加熱したものしか食べてはいけません。
熱帯・亜熱帯地域に行く人は、蚊に要注意。 刺されるとマラリアに感染するリスクがあり、適切な治療をしなければ死に至ることも。長袖・長ズボン、靴下・靴を履き、蚊に刺されないようにしましょう。虫を寄せ付けない材質の衣類も市販されています。虫よけクリームは、国産の物では効き目が薄いので、DEET成分が30%以上入っている物がおススメです。
海外の多くの学校では、長期間の留学の場合、海外傷害保険や留学生保険への加入が義務付けられています。海外の病院の治療費や入院費は高額なので、短期留学の場合でも加入をおススメします。病気だけでなく、出発から帰国まで、盗難や渡航中の事故、救援者費用などについても補償される保険に加入しておきましょう。
予防接種の料金の目安 Tdap/10,000円前後 MMR/10,000円前後 髄膜炎/15,000円前後 B型肝炎ワクチン/8,000円前後(3回接種が必要) ※医療機関によって異なる 予防接種に関する情報は!
外務省海外安全対策
世界の医療事情 厚生労働省検疫所
お役立ち情報
海外渡航のためのワクチン
オーストラリア・カソリック大学 (ACUシドニーキャンパス)で看護学を学ぶ。
品川イーストクリニックで、海外赴任、留学などで海外に行く人のために、健康診断・予防 接種、英文診断書作成を担当。
取材協力:品川イーストクリニック 03-5783-5521