英語教育・留学・グローバル教育に特色のある高校・大学特集

公開:2019-03-12 更新:2019/03/13

雑誌高校&大学

グローバル化の波を受け、英語教育や留学、グローバル教育に注目が集まっている。大学や高校でも、カリキュラムに留学を組み入れたり、独自の留学プログラムを提供するところが増えてきた。今回はその中からいくつかを紹介しよう。

1.岐阜大学

留学経験で自信をつけ 英語で授業ができる教師を輩出

岐阜大学は、1949年に設立された国立大学。今年、創立70周年を迎える。古くから国際交流に力を入 れ、2018年9月現在、 19か国 47大学1機関と学術交流協定を締結している。留学生センターを設置し、海外からの留学生受入れや、岐阜大学から海 外に留学する日本人学生のサポートを行っている。大学が提供する全学部共 通の留学プログラムには、協定校への交換留学、夏期短期留学(サマースクール)、短期の語学留学などがある。 協定校に留学をする場合、その間の現地校での授業料は基本的に免除。単位互換も可能だ。全学部共通のプログラムのほかに、各学部が独自に行っている留学プログラムもある。今回は、教育学部英語教育講座の巽徹先生に、教育学部における留学について聞いた。

海外の学校で教育実習ができる

ここ数年話題になっている教育改革。中でも英語教育は、小学校における英語の教科化、中学高校でのオールイングリッシュ授業の実施、大学受験での英検やTOEFLなどの外部テストの導入など、大きな改革が進んでいる。そのような中、ハイレベルな英語指導ができる教員へのニーズは高まるばかりだ。

 

「本学の教育学部では、小・中・高 等学校の教員免許を取得して卒業し、 教員となる学生が多いです。岐阜県では、小中教員間の人事異動もあり、仮に中学校の教員になったとしても、小学校に異動する可能性もある。そのときに自信を持って『英語の指導もできます』と言える卒業生を輩出したい」と巽先生。そのために「小学校英語指導法」を全学生が履習することになっている。 さらに、全学部共通の留学プログラ ムとは別に、海外の学校で教育実習を体験できる、教育学部ならではの留学 プログラムを5年前から実施している。附属の小学校、中学校を持つ同大学 の教育学部では、他大学に比べ教育実 習やインターンシップの機会が多いため、実践的な力が身につくことが強みだ。

 

さらに、海外の学校で教育実習の経験を積めば、大きな強みになる。1年間の交換留学プログラム、夏休みを利用した3週間のサマースクールがあり、行先は、ノーザンケンタッキー大学、ウエストバージニア大学、サンディエゴ州立大学(以上アメリカ)、シドニー工科大学(オーストラリア)など。 たとえばノーザンケンタッキー大学 では、英語研修で授業に必要な指導用語や、プレゼンテーションに必要な英語を学び、教育実習では、現地の小学校、ミドルスクール(中高)、日本人学校で、現地の子どもたちを相手に授 業を行う。「派遣先の学校は、都市部、 郊外、公立、私立などさまざまで、学生にとって貴重な経験になります。最初は、ネイティブの生徒たちに圧倒されますが、3週間後には授業を行えるレベルまで成長して帰ってきます」。

 

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卒業生は、 小学校英語を牽引する存在に

昨年から、2週間の「イギリス教育実習プログラム」をスタートした。イギリスデボン州の小さな村でホームステイをしながら、現地の教員志望の学生とともに教育実習に参加する。単位認定はされないが、人気のプログラムだ。「帰国後、イギリスの学校で実践した授業を日本人の生徒にも行い、留学での学びを研究テーマにするという学生もいました。単なる旅行ではなく、海外での経験をきちんと 大学の学びにつなげているのは嬉しいですね」 。 卒業生の活躍も著しい。

「本学の卒業生は、大学で学んだことや海外留学で経験したことを実際の授業に活かし、その成功例を研究授業などで積極的に発表している。2020年からの小学校英語でも牽引役となってくれることでしょう」 。

教師が変わらなければ教育改革も絵に描いた餅。岐阜大学で学んだ若き先生たちに期待したい。

 

[お問合せ]電話:058-293-2156,2157(入試課)

 

2.東京都市大学

オーストラリア&ニュージーランド 留学プログラムで英語力と国際感覚を磨く

「理系の学生は英語が苦手」そんな先入観を払拭したのが東京都市大学だ。 英語力と国際感覚を磨き、国際人を養成する2つの留学プログラム、オーストラリア留学プログラム(TAP)と、カンタベリー大学(ニュージーランド)留学プログラム(TUCP)が、 着実な成果を上げている。同大学の、国際センターの本間宏二教授、国際部部長の程田昌明さんに聞いた。

1年次から参加する オーストラリア留学(TAP)

TAPは、2015年にスタートした留学プログラム。最大の特徴は、国 内での1年間の準備教育を受けた後、 2年次に4カ月間オーストラリア パ ースのエディスコーワン大学またはマ ードック大学に留学するという点。準備教育では、ネイティブ講師とのマンツーマンレッスンを含む授業を週5時 間、トータル100日間受講し「読む、 聞く、書く、話す」の4技能を向上する。留学前までにTOEICⓇ550 点以上の取得が目標だ。そのほか、オーストラリアでの生活をスムーズにスタートするためにゲスト講師や先輩らによる留学準備研修会も行う。

 

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2年次からはいよいよオーストラリアでの学生生活が始まる。目標はTOEICⓇ 650。最初の7週間は語学学校で英語力を強化。次の6週間は、大学の教養科目を学ぶ。授業は、講義形式のものだけでなく、フィールドワークなど積極的な参加を求められるものもあり、実践的な英語が試される。 留学期間は2年生の2月〜5月または8月〜11月なので就活に支障がない。また、期間中に学んだ語学と教養科目は単位認定されるため、留年せず4年で卒業できる点が魅力だ。 2019年度の募集人数は全学部合わせて471名。参加した学生の約 95%がTAP参加後、英語力が向上したと回答し、TOEICⓇスコアは、平均122点アップしている。

 

上級者を対象とした ニュージーランド留学(TUCP)

2018年度から新たにスタートしたのが、TUCPだ。TOEICⓇ600以上の上級者を対象とし、参加は何年生からでも可能。院生も対象と なる。ニュージーランドの南島最大の都市、クライストチャーチに16週間滞在し、最初の4週間は大学付設の語学学校で英語の集中講座。次の9週間ではカンタベリー大学の正規開講科目を、現地の学生とともに学ぶ。残り2週間は、専門科目の集中講義を受講する。留学中に修得した内容は9単位分が単位認定される。初年度、10名が参加したが参加者の満足度は極めて高かった。2019年度は 45名を目標としている。

海外インターンシップも

身につけた英語を活かして海外業でインターンシップ経験をしたいという学生のニーズを受け、同大学では 2011年から海外インターンシッププログラムも実施している。同大学の海外インターンシップ専門委員会委員長の桃沢愛准教授によると、TAPがスタートした2015年以降急増 し、2017年には 70人を超えている。「参加者の約半数がTAPの経験者。TAPで自信をつけ、今度は英語を使って職業体験を積みたいと考える学生 が多いようだ」とキャリア支援センタ ーの桜井さん。派遣先は、米国、タイ、フィリピン、ドイツ、ノルウェー、オランダ、オーストラリア、インドネシアなどさまざまだ。こうした同大学の試みが功を奏し、 TAPやTUCPを目的に入学を希望 する受験生も増えているという。2015年に始まったTAPの第1 期生は今年(2019年)初めての卒業生となる。留学経験が彼らの将来にどんな影響を与えるのか、今後の動向が気になるところだ。

 

[お問合せ]電話:03-5707-0104(代表)

 

3.一橋大学

多様な国への留学チャンス 給付型奨学金制度も充実

一橋大学では、1996年に留学生センターを設置し、留学生の受入れや、日本人学生の海外留学をサポートしてきた。「当初は外国人留学生のサポートが中心でしたが、ここ10年で日本人学生の留学が 2.5倍に増えています」。こう語るのは留学センターから改組された現国際教育交流センター長の阿部仁准教授。

期間、国、大学、目的など幅広い留学の選択肢

学生の目的に合わせて、1年間の「交換留学」、夏学期や夏休みを利用した「短期留学」、インターンシップ やフィールドワークを目的とした4週間程度の「短期海外研修」、語学力向上を主な目的とした「語学研修」、さらに優秀な成績を収めた学生だけが参加できる「グローバルリーダー育成海外留学」のプログラムを全学部の学生と大学院生に提供している。留学先は、アメリカ、イギリス、スペ イン、ドイツ、フランス、デンマーク、 オーストラリア、中国、韓国など多岐 にわたり、ハーバード大学やスタンフ ォード大学などの名門校も名を連ねる。

「アジアへの留学希望者は欧米に比べれば少ないですが、アジアでも英語の授業を提供していますし、新興国の急成長を見ることは貴重な経験になる。第二外国語ができないから……といった偏見を捨てて参加してほしい」。長期、短期プログラムを合わせた参加者数は450名を超える。

すべてのプログラムには、研修費用の約 20%を支援する給付型奨学金制度が適用される。単位互換認定も可能だが、未知のことを学ぶために、あえて異なる学部・学科を選ぶ学生もいるという。

 

同センターでは、日本人学生と外国人留学生のために、HGP( Hitotsu bashi University Global Education Program)と呼ばれる、英語による講義も運営している。「この講義には留学生だけでなく日本人学生も参加できるため、留学前に英語環境での授業に慣れるために参加する日本人学生も多いです。また、本学には国際学生宿舎 がありますが、日本人学生も入居可能。6人部屋で外国人学生との共同生活をすることで、留学準備にもなるし、帰国後も英語を使う場になります」。

 

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卒業や就活が遅れることよりも 留学で得ることの大きさを知って

長期留学をする学生が気になるのは就活。阿部先生によると、人より卒業が1年遅れることや、就活に出遅れることを気にする学生は多い。しかし、「長い人生の中で1年の遅れなどさほど気にならない。それよりも1年間の留学経験や、そこで何を学んだかを自分の言葉で語れるほうが強みになる。グローバル人材を求める企業による合同の就職フェアが定期的に開催されていることなどを伝えると、安心して留学に踏み切る学生が多いです。皆、最後には背中を押してほしいのです」。

留学の成果を数値化

帰国した学生たちはどんな力を身につけてくるのだろうか。阿部先生は、学生の留学前と留学後にJAOS留学 アセスメントテストを行い、グローバルな環境で必要とされる4つの力、①コミュニケーション力、②問題解決力、③グローバルマインド、④留学先での学習行動を測定した。「本学の学生は留学前は①と③が低い傾向にありましたが留学後は、すべての能力が向上し、中でも①と③が著しく上がりました」。

留学による成果はそれだけではないと阿部先生は語る。「たとえばスペインのインターンシップに参加した学生は、家庭や自分の時間を大事にするライフスタイルを見て、クオリティオブライフ、つまり、よりよく生きるとは何かを考える学生が多い。部活でも遊びでも、わくわくする経験をたくさんしたほうが人生は豊かになる。留学も、わくわくする機会の一つ。あれこれ悩まずとにかくチャレンジしてほしいですね」 。

 

[お問合せ]e-mail:admission1284@dm.hit-u.ac.jp 電話:042-580-8150(入試課)

 

4.AIE 国際高等学校

リベラルアーツ教育・IBDPプログラムで 留学の道をひらく高校

留学やグローバル教育に興味があるが近くにそのような学校がないという場合におススメしたいのが、AIE国際高等学校だ。国際科・普通科の2つのコースを持つ同校の最大の特徴は、 通信・通学・学生寮という3通りの学び方を選択できること。同校の英語科教諭国際科長の渡邉直子先生に聞いた。

全人教育を重視する 通信制単位制高校

神戸から車やバスで 20分、兵庫県淡路島の北部の緑豊かな地に、AIE国際高等学校はある。母体であるAIEは1981年から米国大学と提携し、日本人学生の米国大学正規留学をサポートしてきた。

 

2013年にAIE国際高等学校を開校。同校では知識や技能の習得よりも、全人的な成長を重視するリベラルアーツ教育を目指しており、カリキュラムには哲学( Philosophy )、社会科学( Social Science )をはじめ、さまざまな学校設定科目が含まれている。

自宅学習・通学・学生寮 自分に合った学習スタイルで

複数の学習スタイルの中から、生徒が自分に合ったコースを選択できることが同校の特徴の一つ。通信コースではeラーニングを活用して自宅学習、通学コースでは週1・3・5日から通学日数が選択できる。本校近くの学生寮 から通学することも可能。クラスは少人数制で、ディスカッションやグループワークを中心に進められる。課題研究や、英語劇発表、和太鼓公演、生徒によるイベント企画など、 課外活動も積極的に行っており、生徒の探求心を大切にし、同時に、未知なる領域に挑戦する心を育てる教育を行っている。

 

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英語力を高める さまざまな取り組み

語学力の向上にも力を入れている。 ネイティブ講師によるウェブ英会話レッスンがあり、通信コースの生徒は、スキルアップのための英会話や、英文エッセイの添削指導を受けることもできる。また、レポート課題はオンラインで提出できるため、在学中に海外の高校に留学をする生徒もいるという。そんなことが可能なのも通信制高校ならでは。

 

寮から通学する生徒は、寮生のみ対象の特別英語レッスンがある。高校入学時は中学生英語の復習からスタートし、卒業前には英検2級A判定で合格し、海外大学に進学する生徒もいるという。夏期体験留学では、米国の提携大学の寮に宿泊しながら、大学講師による体験授業を受ける。

 

同校の生徒だけでなく、世界各国から集まる中高生たちと交流しアクティビティを楽しむ。ホ ームステイの機会もあり、アメリカン・ライフを体験できるという充実したプログラムだ。 その他にも、提携米国大学を通じ、 さまざまな異文化交流の機会がある。

国際バカロレアコースも開講

2018年から国際バカロレア(IB)DPコースが開講。日本語DPの ため、3つのコア科目と6つの科目のうち、2科目(英語、アート)以外は日本語で受けることができる。IBに関心のある生徒は、4~5月の体験プログラムを経て、6月にIBコースを受験。合格者は準備期間を経て11月からプログラム開始となる。

 

「IBと AIEの教育方針が『国際人育成』という点で共通点も多く、取り組んで良かったと思っています。IBクラスで 要求される水準は高いので生徒たちは苦労していますが、確実に実力をつけてきています」と渡邉先生は評価する。「本校は、生徒たちが新しい自分を発見し、世界に対する視野を広げ、能力を開花させる学校でありたいと考えています」 。生徒は、個性を発揮し、のびのび学べる環境で、英語や国際感覚を身につけ、さまざまな進路に巣立っている。

 

[お問合せ]e-mail:aie@aie.ed.jp フリーダイヤル:0120-43-5931

 

5.大阪高等学校

アジアの大学留学で 英語力と精神力を鍛える

大阪高等学校は、全国でもめずらしく、アジアの大学への留学を積極的に奨めている。その中心となっているのが、同校の国際戦略ディレクターの池田靖章先生だ。なぜ、アジアの大学なのか。池田先生はこう語る。「本学には経済的に恵まれていない生徒も少なくありません。奨学金を利用してせっかく大学を卒業しても納得感の持てない中小零細企業に就職する者も多く、奨学金の返済に苦労する 場合が多々ある。そのような生徒たちを見ていて、自分の進路指導は正しいのだろうかと疑問を持つようになりました」。

将来、経済の中心地となりうる アジアへの留学に注目

グローバル化が進む中、留学をして英語力や海外でも活躍できる力を身につけることができれば、就職には有利かもしれない。しかし英語圏の国への留学は、学費が高くて経済的には難しい。そんなとき、アジアの大学は学費が安く、日本人留学生を求めている大学がけっこうあると聞き、アジアの大学について調べ始めたのが5年前のこと。

 

「日本よりも学費も物価も安いので少ない費用で正規留学できる。しかも、多様な国籍の留学生が集まる中で、精神的なタフさや、柔軟性が身につく。大学内の公用語は英語なので、英語によるコミュニケーション力も身につく。これから10年先、20年先は、アジアやアフリカが経済の中心を担うようになる。アジアへの留学は、生徒にとってアドバンテージになると確信しました」と池田先生。

台湾、インド、シンガポール、カンボ ジアなど、アジア諸国の大学を訪ね、親日国で治安も良く、日本人留学生の受入れに積極的な大学を開拓していった。昨年度から実際に留学生を送り出し始め、初年度はカンボジアに1名、2年目となる2019年度は、マレーシ アに5名、台湾に4名、カンボジアに1名が留学する予定。全校で大学進学する生徒250名のうち10名がアジア進学を決めた。

 

「入学条件は、高校の評定(成績) と、IELTS 5.5 〜、面接のみ。英語力が足りない場合は大学付属の語学学校で英語力をつけてから大学に編入できるので、実質的には希望すればだれでも入学できます」。ただし、欧米の大学と同様、卒業するためにはまじめに授業に参加し課題を提出しなければならない。学費を出す親としてはありがたいことではある。

不便さを肯定的に受け入れ 精神的なタフさを手に入れる

アジア系の学生が多く、彼らも英語 がネイティブではないので、日本人留学生にとってハードルが低いのもアジアの大学のおススメポイント。「アジア人は、アクセント(なまり)が強いので、きれいな発音の英語は身につかないかもしれませんが、これからビジ ネスの中心がアジアになることを考えると、きれいな英語であることよりも、アクセントがある英語を聞き取る力のほうが重要になる」。

 

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同校では、カンボジアへのスタディツアーも行っている。「不便なことが多いけど、便利な日本と違って、自分たちで課題解決をする余地があることが面白い」などの感想があり、生徒たちは不便さを肯定的に受けているようす。カンボジアに留学した生徒は、ハエが多いという環境を改善するために、ハエが嫌うハーブを植える活動をしているという。

 

まだまだ、アジアの大学に目を向ける高校は少ない。しかし池田先生は他の学校もまきこんで、アジア留学を進めていきたいという。「いい大学、いい会社に行くという日本の画一的な生き方以外の選択肢を生徒たちに示したい。グローバルな時代の中で本当に日本の大学がいいのかどうかは考えてほしい。別にアジアに行けとは思わないが、より自分が輝ける場所は世界に散らばっているということを知ってほしいですね」

 

[お問合せ]e-mail:rekisinoyasu2000@gmail.com 電話:06-6340-3031 (代表)

 

6.常翔学園中学校・高等学校

海外の学校と積極的に提携 現地の学生と合同学習も

2022年に100周年を迎える常翔学園。もとは高度経済成長を支える職業人の育成を目的とし、関西工業専修学校として創立。機械科、電気科、 建築科、土木科、自動車科を設置する男子校だった。しかし、時代の変化を受け1972年には共学化。2000年初めから教育改革に取り組んできた。 一昨年にはICT元年として、生徒一人に一台のタブレット端末を導入。今年度は、グローバル元年として、英語教育の改革に着手した。同校の田代浩和教頭先生に聞いた。

ICTの導入に続き、今年度から英語教育の改革に着手

同校は、「自主・自律の精神と幅広い職業観を養い、目的意識を持った進学の実現により、将来、実社会で活躍できる人材を育成する」という教育の理念に基づき、キャリア教育に力を入れてきた。2008年に学校名を常翔学園に変更。国公立大学合格者を多く輩出し、進学実績は右肩上がりに上昇している。 2017年度には、「一人1台タブ レット端末」を実現。ICTを活用した授業が日常的に行われるようになった。タブレット端末を使うことで、動画や音声教材が手軽に利用できるようになり、特に英語の授業が大きく変わったという。「一昨年まではネイティブのALT もおらず、英語教育は遅れていた」と田代教頭。しかし、2018年度から、さまざまな改革をスタート。具体的には次の4点が改革のポイントだ。

 

①ネイティブ講師の配置
②オンライン英会話の導入
③留学生の受入れ
④海外姉妹校の発掘

 

①のネイティブ講師の配置により、 プレゼンテーションやディベートなど、使える英語力を養う授業を増やした。「今後は、中高の6年間で英語がしゃべれる生徒を育てるための体系的なカリキュラムを時間をかけて作っていく」と田代教頭。

②のオンライン英会話は、フィリピンの英語講師と生徒がマンツーマンで行う。週1時間、正規の授業の中で毎週実施。「週1時間で急激な英語力アップは難しいが、英語への精神的なバリアは完全になくなった」という。

③の留学生受入れでは、スイスからの留学生を初めて受け入れた。「常に外国人がいるという環境が生徒たちの意識を変えた」と田代教頭。積極的に英語を使おうとする生徒も増えている。④海外姉妹校も、年に1校を目標に、積極的に増やしていく予定だ。今年度は、韓国の金泉(キムチョン)高校と姉妹校提携を行った。卒業生には、台湾の大学へ留学する生徒も出てきたという。英語、中国語を身につけて帰国し、就職は引く手あまたとなるそうで、毎年希望者が増えている。

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海外の学校との合同授業を構想中

そして、来年度からさらにグローバル化を加速する。アイルランド、カナダ等、海外に1週間ホームステイし、現地の学校の生徒と合同でフィールドワークやリサーチを行い、最終的には英語でプレゼン テーションをするという研修プログラムを企画している。かなりの英語力を必要とされるので、事前学習として、生徒5人に1人の留学生がサポートするオールイングリッシュの授業を今年から実施している。

 

つまり、国内にいながら、留学中と同様の環境をつくり、英語で外国人の学生と共同学習をする。単に英語で発言するだけでなく、論理的に意見を構築する方法も学ぶ。「生徒たちが大人になる頃には世の中は大きく変わる。AIの進化や産業構造の変化もふまえながら、英語だけでなく、あらゆる面で教育の改革が必要。VRやARを活用した授業も検討中」と田代教頭。来年度からは教育イノベーションセンターを立ち上げ、改革を加速していく構えだ。その成果が期待される。

 

[お問合せ]e-mail:nyusi@highs.josho.ac.jp 電話:06-6954-4436(入試部)

 

7.スイス公文学園高等部(KLAS)

日本人のアイデンティティと グローバル感覚を同時に身につける

日本人としてのアイデンティティをしっかりと育みながら、グローバルな感覚を持つ子を育てたい。留学をさせ たいけれど、日本の中学校からいきなり海外の高校に入れるのは不安…。そんな保護者の方におススメしたいのが、 スイス公文学園高等部だ。校長の渡邉博司先生に同校の特徴について聞いた。

確かな英語力と日本人としての アイデンティティを育む

「本校は、文部科学省認定の在外教育施設で、日本の高等学校と同等の卒業資格を取得でき、国内外の大学に進学実績を持つ全寮制の男女共学校です。キャンパスは、ヨーロッパの中央に位置し4つの公用語を持つスイスにあり、アルプスの大自然に囲まれた、治安のいいリゾート地レザンに立地します。スイスの優れた環境を求めて多くのインター校が集まっています。」

 

スイスにいながら、日本の高校生と同じ授業を受けられるため、海外の高校に留学するのと違い、英語力を高めながら日本語や日本文化、歴史を学べ、日本人としてアイデンティティを育むことができるのが強みだという。

英語の授業は、ネイティブ講師による少人数制。「読む」「聞く」「書 く」「話す」の4技能をバランス良く学ぶ。また、英語だけでなく、選択の仕方によっては数学、社会など一般教科の授業も、5割〜7割を英語で学ぶので英語にどっぷり浸れる環境だ。

欧米の大学のようにディスカッションやプレゼンテーションを行うなど、英語での表現力や思考力を高めるためのカリキュラムも充実している。心配なのは、「入学時にどのくらいの英語力が必要なのか」ということだが、渡邉先生によれば、「英語教員は日本での指導経験があり、日本の英語教育を踏まえています。そのうえで、入学後、少人数クラスで英語を学ぶので、日本の中学卒業時レベルの英語力があれば大丈夫」とのこと。

多文化・多言語の環境を生かし 体験や交流を通して育む国際感覚

ヨーロッパの中心にあるという地の利を生かして、ドイツ、ハンガリー、チェコ、オーストリア、フランスなど、各国の文化、歴史について理解を深めるための文化旅行があるのも特徴の一 つだ。また、希望者はセレクションを経て、発展途上国にボランティアトリップにも参加することができる。「他にも、オランダで開催される模擬国連をはじめ、他国の高校生や大学生との交流の機会がたくさんあり、スイスだから多文化、多言語の環境にすぐにアクセスできるのも本校ならではです」と渡邉校長。これらの活動の中でグローバルな精神が身についていく。

 

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全寮制で身につく自立心と人間力

さらに特筆すべきは、同校は欧米流の自立を目指した全寮制のボーディングスクールであること。寮内には、ラウンジやカフェテリア、レクリエーションルーム、ジム、ジャグジーなども完備され、生徒は規則正しい生活を送っている。職員も寮に常駐し、必要なサポートを行うが、基本的には生徒の自主性を重んじている。親元を離れ、共同生活をする中で、人を尊ぶ姿勢、自己責任、自治の精神などを学び、人間力を高めていく。

国内、海外大学へ多彩な進学先

卒業後の進路としては、卒業生の3割は海外の大学へ、7割は日本の大学へ進学している。海外進学を希望する生徒には、専任の担当者が各国の受験制度に応じたサポートを行い、日本の大学進学を希望する生徒には、日本人担当者が進路指導を行っている。卒業生の進路は、文系、理系に限らず、理工系・医歯薬系・芸術系など多彩だ。海外大学では、北米、ヨーロッ パ諸国はもちろん、オーストラリア、 ニュージーランド、中国、インド、マレーシアなどさまざまな国へと旅立っ ている。

 

[お問合せ]e-mail:klas-inquiry@kumon.co.jp 電話:03-6836-0078(スイス公文学園 広報室)

 

8.武蔵野大学附属千代田高等学院

英語だけでなく、 世界市民としての問題解決能力を育てる

1888年に女子校として創設さ れ、2016年に武蔵野大学と合併。 2016年4月より男女共学として新たなスタートを切った武蔵野大学附属千代田高等学院。それに先立つ2018年2月には、世界標準のカリキュラムであり、世界市民の育成を目標とする「国際バカロレア(IB)」認定校に承認されている。

生徒の多様な個性や知性を 活かせる5つのコース

現在同校には、「国際バカロレアコ ース(IB)」「文理探究コース(IQ)」「 グローバルアスリートコース(GA)」「リベラルアーツコース(LA)」「 メディカルサイエンスコース(MS)」の5コースがある。IBコースは、英語と数学の授業を英語で行う。こうした多様なコースを設定している理由を、同校の荒木貴之校長はこう語る。「ハーバード大学のハワードガ ードナー教授が提唱する、多重知性理論の考え方に基づいています。私たちは、興味関心が異なる、さまざまな個性や知性を持つ生徒が集い学び合うことによって、ともに成長することがで きると考えています」。

世界各国に提携先を拡げ 多様な留学経験を

海外研修や留学制度も充実している。IB、IQコースでは、高校1年次に全員が 10日間のアメリカ研修に参加する。LA、MSコースでは、国内の施設で語学研修を経て高校2年次に海外研修を。LAコースでは、希望者は3カ月〜1年間の長期留学も参加が可能。

 

やる気のある生徒が経済的理由 であきらめなくてすむよう、年額最大 で100万円の給付型奨学金も用意している。東京都私学財団の助成金も利用可能なので、可能性はさらに広がる。「なるべく多くの生徒を応援したい」と荒木校長。留学先は、アメリカ・イギリスだけ でなく、ベトナム、インド、中国など世界各国に広げていく考え。同校の情報科主任教諭であり、IBコース長で もあるドゥラゴ英理花先生は「高校だけでなく、カレッジ、大学とも提携先を広げつつあります。交換留学だけでなく、海外大学への進学・卒業も視野に入れています」と語る。

国連のSDGsに取り組み 世界市民を育成したい

もう一つ特筆したいのは、国連グロ ーバルコンパクト※ に加入しているこ とだ。同校では「探究」という時間を設け、生徒自らが国連の提唱するSDGsに関する課題を設定し、探究に取り組んでいる。「本学の立地する千代田区四番町は、 徒歩圏内に各国大使館もあれば国会議事堂もある。世界的な課題の探究には 最適の立地なのです。武蔵野大学との連携によって大学のリソースを活用できることも本校の強みです」と荒木校長。探究の授業は、先生が生徒たちに向けて一方的に話す講義型ではなく、グ ループで議論をしたり共同作業をするなど自由に動きながら行う。全員がBYOD( Bring Your Own Device )でノートPCまたはタブレットPCを持ち、オンライン上でも意見交換や課題提出を行う。

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未来の教室に向けて

「学びの場は教室だけ、この学校だけとは限らない。海外はもちろん、北海道や八丈島の高校とも提携し、オンラインで意見交換をしたり、互いの学校を訪れて学習をすることもある」と荒木校長。「先生に求められる力も変わる。さまざまな個性をもった子どもたちをいかにファシリテートできるか。また、 外のリソースを活用していかに授業を作るかというカリキュラムマネジメント力も問われる。教師の育成は急務」。まだ先の、未来の教室に向けて、武蔵野大学附属千代田高等学院の挑戦は続いている。

※国連グローバルコンパクト=貧困や人権、環境などの地球規模のさまざまな課題に対して、17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals=SDGs)を掲げ、企業や教育機関などが連携して行動を起こす取り組み。

 

[お問合せ]電話:03-3263-6551(代表)

 

 

 

 

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