留学先として人気の高い
ニュージーランドは教育先進国としても注目を集めている。
ニュージーランドは人口約470万人の小さな島国。
自然豊かで治安の良い国ということで、特に中高生の留学先としては人気の高いニュージーランドだが、
その魅力は豊かな自然や環境だけに留まらない。
2017年に英誌エコノミストの調査部門であるEconomist Intelligence Unit(EIU)が2017年に発表した
「未来教育指数(Education Future Skill)」ではニュージーランドが世界1位になったのだ。
「世界各国の未来に向けた教育」として未来的で総合的なニュージーランドの教育実績が評価されたという。
私自身ニュージーランドでの高校留学を経験し、自由で個性を伸ばす教育に驚かされた。
また、今は仕事で各国の学校を取材で訪れ、改めてニュージーランドの教育の魅力を感じている。
私が知っているニュージーランドの教育について少しここで紹介しよう。
1. 中高生から選択式の授業
学年によって必修科目の数などは異なるが、中高でも大学のように科目を選択して学ぶスタイルになっている。
日本のように全員が平均的になんでもできるようになる教育とちがい、「得意を伸ばす」という教育システムになっている。
余談になるが、私は留学していた当時、ニュージーランドで友達を作るため一番人気の高い
ラグビー部に入部した。私は当時ラグビー経験がなかったため、ルールもわからず何もできなかったのだが、比較的走るのは早かった。するとみんなが「足早いね!」とその長所を見つけてほめてくれ、「君は足が早いから、このポジションで、とにかくボールが来たらまっすぐ走りな!」と練習試合などにもすぐに出させてくれた。
欠点を指摘するのではなくとことん長所を伸ばす教育が根付いているのだろう。
2.壁のない学校
ニュージーランドの学校も教室に壁があるが、教室間の壁がなかったりドアがないオープンなスタイルの教室が増えている。
完全に壁のない学校など、学年もクラスもごっちゃまぜになって学んでいるので、授業中でも違う学年の子たちと一緒の場所にいるのに、それぞれが違うことをやっている。という光景を目にする。
先生達がどの生徒がどこにいるのかを先生達がちゃんと生徒を管理できているのがすごい。先日ニュージーランドの小学校を視察した時、広いスペースでたくさんの生徒が自由に授業を受けている中を歩き、先生達は「やぁ〇〇君。今は何の授業?」と声をかけると「今、プログラミングの授業でこんなゲームを作っているんだ!」と嬉しそうにタブレットを見せてくれた。
さらには「あそこで理科の実験をしているのは生徒の保護者なんだ。あっちで絵を教えているのも保護者。」と、教員だけでなく地域コミュニティーが一体となって子供の教育に関わっている。教える人が教員じゃなくても、その分野に詳しい人や、その分野のプロが教えてあげるほうが良いという考えは素晴らしい。
近年、日本でも教室の壁のない学校などでてきているが、先生の業務が多すぎる日本でもニュージーランドのように地域コミュニティーとの協力などは参考にすべきかもしれない。
3.一人ひとりの違いを認める
日本の学校では、生徒の書いた絵や習字が飾られると、みんなが同じものを書いていることが多い。それぞれの字や絵に多少の個性はあれど、書くものは決まっている。
ニュージーランドではみんなが全然違うものを書いている。また、同じものを書いたとしても一人ひとりの違いをほめてくれる教育になっている。
例えば太陽を青色で描いた子に「なんで青色にしたの?」とちゃんと聞き、みんなに対しても「〇〇ちゃんはこういうふうに太陽を見ているんだよ!すごいね!」とその感性をほめてくれる。決してその感性を否定しないのだ。
不確実性が高まって、正解のない現代の社会において、その不確実性を認めて、自分のやりたいことや感性に基づいて行動できる子供たちを育てているということが、未来教育指数で1位に選ばれた大きな理由なのだろう。
これからの未来を切り開き、グローバルに活躍する人材を育成するニュージーランドは世界中から注目される教育先進国だ。
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