【海外安全コラム】旅行中に強盗被害にあってしまった場合

公開:2018-10-01 更新:2018/11/13


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海外安全コラムでは、海外で危険なことに巻き込まれないためにできること、そしてもし万が一が起きた際の対処方など、自分の身を守るためのお役立ち情報をシリーズで発信しています。
 

日本人は3日に2件、海外で強盗被害に遭っている


日本にいると、「強盗被害」に遭うことはあまりないように思います。警視庁の統計によると平成28年に日本国内で発生した強盗件数は約2,300件。1億2,500万人が暮らす国の中で発生する事件数としては非常に少ない発生件数です。
 
発生件数が少ないことに加えて、日本で発生する強盗事件の特徴がもう一つあります。それは他の国比べて、銃が使われるケースが極めて限られているという点です。銃は日本国内では一般的に流通していないので、アメリカや世界各地の途上国とは異なります。銃がない場合、考えられる武器はナイフですので数メートル離れれば、致死的な傷を受けることはありません。ではもし銃があればどうでしょうか?撃ちなれている犯人であれば最も威力の小さい拳銃でも20メートル程度までは致死的なダメージを与えることができてしまいます。
 
まとめると、海外での強盗被害は日本よりも発生率が高く、また金品被害だけでなく身体への影響の深刻さも日本とは比べ物にならない、ということです。
 

絶対に盗まれてはいけないものは?


強盗被害に合わないために、財布などを不用意に出さない、周囲によく気を付けて行動する、といった予防方法はありますが、強盗被害を100%防ぐことは難しいです。では、もし強盗被害に遭ってしまった時、どのような行動をすればよいでしょうか?
 
急に荷物を引っ張られ、奪われた。日本と違い相手が銃を持っていてもおかしくはない。
 
そんな緊迫した状態ではとっさの行動が生死を分けることもあります。もし被害にあった時、みなさんはどんな反応をするでしょう?
①盗まれた金品を奪い返そうとしますか?
②逃走した犯人を追いかけて捕まえようとしますか?
③護身術に心得がある方は相手をぶちのめそうとしますか?

 
残念ながら上記のような対応方法は決しておススメできません。金品を奪われるだけでなく、もしかすると命を奪われるといった結果になってしまうこともあるのです。結果が非常に残念ですが、こちらの記事も参考になさってください。
 
コロンビアでの強盗被害⇒追跡⇒殺人被害の事例(日本経済新聞)
 
もちろん奪われてしまった金品も大切ですが、それ以上にご自身の命はもっと大切だということ。金品は失ってしまっても生きていけますし、周囲の人や日本国大使館などが助けてくれるでしょう。しかし命を失ってしまっては、残るのはご家族の悲しみだけです。
どれだけ多くの金額が財布に入っていても、どんな高価な物品を奪われたとしても、絶対に盗まれてはいけないのはあなたの命、これはとっさの反応でも忘れないようにしてください。
 

金品目当ての強盗には無抵抗・命を狙われる場合は死に物狂いで抵抗



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とっさの行動は頭で考えるよりも無意識で進んでしまうものです。頭では理解していても、盗られた荷物を奪い返そうとした、というのはよくあることです。しかし、それをやってしまうと命まで奪われてしまうことだってあるのです。
 
では、とっさの行動で強盗に反抗したり、荷物を取り返そうとしたりという行動を避けるにはどうすべきなのでしょうか。実は、普段から被害に遭った時を考え、「イメージトレーニング」をすることで、ある程度コントロールできるようになり、生き残る可能性を高められるのです。
 
・荷物を強い力で引っ張られたらそれ以上の抵抗はやめて手離す
・万が一貴重な金品が入っていても諦める(諦められるように金品は簡単に盗られないところに入れておく)

 
といったイメージトレーニングです。
 
本当にイメージトレーニングでそんなことができるの?と思われるかもしれませんが、日本人が小さいころから訓練している、地震が来たら机の下に潜るという行動は、ほぼ無意識でするのではないでしょうか。無意識の行動も、日ごろから訓練すると思っている以上にコントロールが可能なのです。
そこで、このコラムの最後に強盗被害に遭った時のシンプルな行動原則(イメージトレーニングのヒント)をお伝えします。
 
それは、もし海外で金品を目的とする強盗被害に遭ったら無抵抗に徹するということです。すでに説明した通り、絶対に盗られてはいけないものはみなさんの命です。強盗の狙いはあくまで現金や高価なものです。強く抵抗されたり追跡されたりしない限り、命まで盗ろうとは思っていないことがほとんどです。つまり、金品を諦めてしまえば、命だけは助かる可能性が高まるのです。
ただし、テロや襲撃など、金品ではなく、あなたの命を奪うことが目的だと考えられる場合は無抵抗のままでは100%殺されてしまいます。ですので、この場合は死に物狂いで抵抗することが必要です。
 
海外で「ヤバイ!」という状況になってしまったら…。
 
金品目当ての強盗には無抵抗!
命を狙われる場合は死に物狂いで抵抗!

 
どうぞみなさま海外での留学や旅行を楽しんで、無事に日本にお戻りください。
 
 

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安全はどの留学スタイルで渡航するにも必要なものです。しっかりと準備をして出発しましょう!
 
 

この記事を書いた人

海外安全.jp 代表
2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練も受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立し、現職。

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