世界の家【オランダ編】

公開:2019-02-06 更新:2019/02/06

「世界の家」シリーズ、今回はチューリップや風車が有名なオランダを取り上げます。
運河沿いの住宅は、石やレンガ造りの家ですが、梁や構造材や窓枠などは木をふんだんに使用しているため、石造建築の冷たさや暗さが全くありません。
レンガ造りの細長く高層化した住宅が多いのは、貿易が産業の中心だった頃に倉庫として使用していた建物を住宅に改造されているから。 建物の最上部に突き出ている柱は倉庫時代、この柱にロープをかけ重い荷物の上げ下ろしに使っていたものだそうです。 (現在は引っ越しの際に荷物の搬入出に用いられています。)


外壁はレンガ造りで室内は木造というのが典型的な民家スタイル。 一階部分の天井は高く上の階にいくほど低くなり、高層化した建物を支えるためにも、梁、柱がたくさん使われています。 外壁が木造でないのは防火対策のため。 15世紀の大火がキッカケで、それ以降は石やレンガの家となりました。


また、雨が多いので、木の部分には必ずペンキが塗られます。 青色のペイントは「フライ・ブラウ」と呼ばれ、この色は虫を寄せ付けないと考えられており、台所などに良く使われています。 緑色はオランダの伝統的は色。 外壁に塗られている緑色のペイントは「シー・グリーン」と呼ばれ、17世紀からオランダの伝統的な色と考えられてきたそうです。


窓枠や柱、梁と壁、屋根とのコントラストは色鮮やかで見る者を楽しませています。


運河沿い住宅の特徴として、地下室や一階部分にダイク(堤防)の役割を果たす壁が取り付けられています。 これは増水による水の浸入対策です。 (国土の1/4が海抜0m以下のため、水害対策はとても重要です。)


最後に、オランダのシンボルの一つである「風車」についても説明を。 風車小屋の一階は居住空間となっていて、灌漑用の風車には住み込みの労働者が暮らしていたようです。 ちなみに17世紀では、風車を所有していたのは裕福な人々のみでした。


風車内の間取りは、内部は円形で入り口を入ったところに台所、その奥に風車の駆動装置があり、居室は台所から左に回ったところが居間、右側が寝室になっています。 また暖炉の煙は駆動装置の隙間を向けて屋根から抜けるようになっています。


運河沿いの住宅は長い歴史の移り変わりから、住宅もその時代に合った様式に変化していることが分かりますね。


参考文献:ヨーロッパの家3 講談社 監修 樺山紘一

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