カナダの教育制度を知ろう

公開:2019-01-07 更新:2019/04/15

カナダ教育制度

水準の高い教育に定評があるカナダ。世界中から留学生が集まる国のひとつでもあります。初等・中等教育は公立校が充実しており、大学はほとんどが公立で高難易度です。  

カナダの教育制度は州ごとに違う

カナダでは、州(準州)ごとに教育制度が定められていますが、6歳で小学校に入学してから、日本の中学・高校にあたる中等教育を修了するまでの期間を12年とするのが一般的です。また、初等教育の期間は通常6年ですが、7~8年の州もあります。  

公立・私立

カナダでは、小・中・高校ともに公立校が数多くあり、そこに進む人がほとんどです。私立は、ローマ・カトリック系が大半で、一部プロテスタント系の学校もあります。私立学校の数はとても少なく、初等〜中等教育の学校の割合は全体の約10%で、生徒数ではわずか5%という数にとどまっています。公立校に進学する人が多い理由として、カナダ人は学費が無料ということが挙げられます。   バンクーバーウィスラーという都市を持つブリティッシュ・コロンビア州などの地域学区の公立校では留学生の受け入れを行っているところもあり、留学生の入学条件や学費は学区ごとに決められる。学年数はアメリカと同様にGradeで表されます。中等教育の最後の2年間、日本の高校2~3年にあたるグレード11〜12の時期から、選択科目の幅が広がっていきます。大学進学希望者は一般教養教育に進み、就職希望者は職業教育(単独の職業訓練校に進む場合ある)に進みます。  

州ごとの卒業認定

成績はA~Fの6段階評価、または達成率による評価で決まります。卒業条件は、各州によって異なりますが、必ず履修授業の時間数と必要単位を満たしたうえで、州の卒業認定試験をクリアする必要があります。さらに、大学進学希望者は、志望大学(学部)が指定する科目を修得していなければ入学できないという規定が設けられています。  

2言語主義

カナダの教育制度をさらに特徴的にしているのが 、「英語とフランス語」という2つの公用語です。カナダ人の約7割は英語、約2割はフランス語を母国語としていて、ケベック州では州民の8割がフランス語を母国語にしています。このような状況のため、2言語プログラムを採用しており、英語(フランス語)を母国語とする子どもは第1言語を英語(フランス語)、第2言語をフランス語(英語)として学ぶことができます。また、効率的な第2言語習得のため、通常科目を第2言語で指導するイマージョン教育(没入法)も導入されています。  

カナダ教育制度

小中、高校、大学・大学院

初等教育

カナダは州ごとに産業や文化が異なり、州の特性に合った教育を提供 する必要があるため、カナダの教育 は国ではなく各州と準州が管轄しています。 カナダの多くの州では、初等教育 はグレード1~6(日本の小学校)、 中等教育はグレード7~12(日本の中高)となります。ケベック州は少 し変わっていて、中等教育はグレー ド 11まで。その後大学進学を目指す人は2年制のCEGEP(セジェップ)に進み、大学進学予備課程を修 了します。 カナダの学校の学期は9月〜1月 の秋学期と2月〜6月の春学期の2学期制。7、8月は夏休みです。

中等教育

カナダの高校は9割以上が公立。 カナダ人であれば授業料は無料です。 高校の授業は必須科目と選択科目からなります。アートや演劇、木工、調理、ロボット工学、自動車整備などさまざまな選択科目があり、生徒たちは早くから自分の得意や好きな分野を見つけることができます。公立校の場合入学試験はなく、英語能力も問われず誰でも入ることができます。 成績はA〜Fの6段階評価、または達成率による評価で決まります。 卒業するためには、必要な授業時間 数や単位を満たしたうえで、州の卒業認定試験をクリアしなければなり ません。大学に進学する場合は、志望大学(学部)が指定する科目を高校で履修している必要があります。 英語とフランス語を公用語とするため、2言語プログラムを採用して いることもカナダの教育の特徴です。

大学

カナダの大学ほぼすべてが公立(州立)。比較的リーズナブルな費 用で高い教育を受けられるのがメリットです。広大な国土に対し、大学は100校しかないため(日本は約 700校)、各地にある2年制のカレッジが大学のパスウェイともなっ ています。カレッジには大学編入コ ースと職業訓練コースがあり、大学編入コース(1~2年)を修了すると大学に編入することが可能です。職業訓練コースは、職業につながる専門教育を行っており、就職率は90%以上。また、大学卒業と同等のバチェラーディグリー(学士号)が取れるカレッジもあります。多くの大学やカレッジで、在学中に企業で働きながら実習できるCOOPというプログラムを提供しており、カナダで就学経験を積みたいという留学生にも人気です。

大学院

博士課程まで備えた総合大学は大都市に多く、海洋学、農学、水産学、環境学、北米研究など、カナダならではの専攻分野も含め、優れた研究を行っています。なかでも、ライフサイエンス、通信、 コンピュータの分野では、世界的に高い評価を受けています。また、 ビジネスパーソンに人気の高いMBA( Master of Business Admini stration )コースは、多くの大学院で専攻できます。トロント大学、マギル大学など、大学附属の大学院のほかに、大学院課程のみを設置する学校もあります。

 

カナダの教育制度

 

ボランティア活動なども重視した成績

科目

中等教育に入ると学年が進むにつれて、選択科目が増えます。各自がそれぞれ選択した授業が行われる教室に移動するようになり、グレード11~12に進むと、一般教養教育と職業教育、どちらかのコースに進むことになります。一般教養教育に進んだ場合、志望大学での専攻を考慮して授業を選択することになり、必修科目と大学入学のために必要な科目の両方をうまく組み合わせ、各自がそれぞれの時間割をつくっていくことになります。第1(英語もしくはフランス語)・2言語、理科、数学、社会、芸術、体育は必修科目に該当し、選択科目には、工業技術、コンピュータ、家庭科、保健などがあります。  

教科書は無償で貸し出し

公立校ではカナダ国民は高校まで学費が無料なだけでなく、教科書も無償で貸し出しを行っています。そのため、みんな教科書には一切書き込みせずに大事に使用されています。

地域活動が必須

オンタリオ州ではグレード9~12の4年間に18の必修単位12の選択単位を修得しなければなりませn。それに加えてボランティアなど地域の活動に40時間参加することも義務付けられています。同州の学校を卒業するには、これらの条件をクリアして、さらに州が定める認定試験に合格する必要があります。ブリティッシュコロンビア州などでも30時間のボランティア活動が必要とされています。  

成績評価は厳しい~日頃の努力が大切

繰り返し注意しても、まったく意欲を見せない生徒に対しては、落第や退学など厳しい処置がなされることもあります。また、成績評価も厳しく、定期テストの点数のほか、授業の出席率や授業に積極的に参加して発言を行ったかなど、その取り組み方も大きな評価の対象です。そのため、遅刻や欠席が増えてくると、進級は難しくなってきます。留学生の場合、病気や体調不良により、やむを得ず欠席するときは、ホームステイ先のホストファミリーに連絡を入れてもらうか、手紙を書いてもらうなど、欠席の理由をきちんと学校に届け出る必要があります。  

語学の補習も充実フランス語も学べる

充実したESL(English as a Second Language)プログラムを用意している学校が多数あります。このプログラムは、英語を母国語としない外国人留学生や移民の子どもの英語能力を向上させるためのもので、多くの外国人留学生は、まず最初の半年間ほどESLプログラムで英語力を鍛え、それから徐々に音楽、芸術、体育など英語力が問われない科目から選択していきます。4月から8月末までの5カ月の間にESLプログラムで英語力をできるだけアップし、新学期にはどの授業も受けられるようになっておくがベストです。  

カナダ人の英語&フランス語

  カナダ人の英語は、ブリティッシュ英語とアメリカ英語を足して2で割ったようなものだと言われています。単語もブリティッシュ式とアメリカ式の両方を使い分ける人が多い傾向です。アカデミック・コースに進むと第2言語としてフランス語を学ぶことになります。母国語以外の公用語をマスターするために努力するカナダ人は、一緒に学ぶうえでいい刺激に。  

 

 

~留学用語~

学区【School Division】

州内をSchool BoardまたはSchool Districtと呼ばれるいくつかの学区に分けて、人口密度に応じて各学区に1校から数校の学校がある。各学区にそれぞれの教育委員会があり、教育委員会が学区内の公立高校の管理や運営を行っている。  

公用語【Official Language】

政府が国民全体に向かって使用する言語。歴史的、民族的、文化的に使われている言語を指す。カナダの公用語は英語とフランス語。  

 

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