公開:2019-01-11 更新:2019/06/24
世界中から多くの人が訪れるイタリア。観光地と人気の国の一つだ。観光スポットが魅力的なのももちろんだが、最先端の芸術や音楽、ファッションなどに触れられるのも人気の理由だろう。街並みの美しさもさることながら、空の色まで違うように目に映る。
国内には多くの世界遺産と、どこに行っても美味しい食事とワインが待っていてくれる。そんなイタリアに長期滞在できる大学留学を紹介。
イタリアには約80の大学があり、そのほとんどは国立大学。国立大学については、日本や米国のように「○○大学卒だからすごい」といったブランドイメージや大学の序列はなく、どこでも同様に質の高い教育が受けられる。
国立なのだから、質が一定に保たれているのが当然であり、イタリアには「偏差値」といった発想もない。訳語もないし、この概念をイタリア人に説明することも難しい。
また、合格倍率という発想もない。「自分は大学で何を学びたいか」が最も大事なことであり、倍率が高いから受けないとか、低いから狙い目といった考え方は理解に苦しむという。
教育機会の平等の理念から、イタリアでは大学の学費が1年間で15〜20万円と、非常に安く抑えられている。
イタリアには、入学試験がない大学も多い。これは、高校卒業時に「マトゥリタ(Maturita)」という、高卒資格取得のための国家試験が課されるため。つまり、マトゥリタが大学入試に代わるというわけだ。ただし、医学部や法学部など一部の学部では、専門科目の試験がある。
留学生も積極的に受け入れていて、英語で学位を取得できる学部・コースも多いが、TOEFLやIELTS何点以上といった、入学条件を課していない大学も少なくない。そのため入学のハードルは低いと感じるが、語学力が足りなくて授業についていけないとしても、自己責任というのがイタリア流だ。
欧米の大学が、日本の大学に比べ、「入るのは簡単だが卒業するのは難しい」とはよく言われることだが、イタリアの場合も同様だ。
学期ごとに口述試験があり、合格しなければ次の学期に進めない。
毎回の試験の点数は、卒業時の点数にも反映され、これが就職にも大きく影響するため、イタリアの学生は、高得点を取るために猛勉強する。もし、よい点を取る自信がなければ、1学期ダブってでも得点を伸ばそうとする学生がいるほどだ。
イタリアの学士課程は一般的に3年間だが、5年も10年もかかってようやく修了するか、落第を繰り返して結局中退する人も多い。イタリアの大学進学率は50%弱で、日本より若干低い程度だが、大卒者となると2割を切ってしまうのはこういうわけなのだ。
イタリアの大学を卒業するにはかなり覚悟が要りそうだ。しかし、苦労するだけあって、イタリアの大学を卒業した人は世界各国の一流企業や機関から引く手あまただという。それだけ、大学の質の高さが世界に認知されているのだ。
イタリアの大学には序列はないと冒頭で述べたが、例外はある。
その名を聞けばだれもが「ああ、あの大学!」と感嘆する。それは、「Scuola universitarie Superiori」というカテゴリに属する大学群だ。
「Scuola universitarie Superiori」に属する大学は12校あり、入学するためには、入学試験を受けなければならない。前述のマトゥリタの成績はあまり関係なく、入試結果がよければ入学できる。
無事入学できるとハードな勉強が待っている。ここの学生は、この大学以外に提携大学の授業も受けなければならない。しかも、どの科目も、試験で高得点を取ることが求められ、もし一定の成績に達しない場合は除籍となる。
大変厳しいが、一般の大学より高度で専門的な教育を受けることができ、きちんと学業を修めた者は、一般の学士、修士、博士といった学位のほかに、Scuola universitarie Superioriの特別な学位をもらうことができる。しかも、学費は免除され、毎日3食つきの学生寮の滞在費も無料だ。
勉強漬けの毎日となるが、厳しいゆえに充実感、達成感も大きい。もちろん、卒業後の将来も約束されている。
Scuola universitarie Superioriに属する大学の一つに、ピサ高等師範学校(Scuola Normale Superiore di Pisa 以下SNS)がある。SNSは、1813年に、パリ高等師範学校(École Normale Supérieure de Paris)の分校としてナポレオンによって設立された。ノーベル賞受賞者や大統領を多数輩出し、イタリアで最も高度な教育と研究機関として、確固たる地位を築いている。
イタリアの大学はどのようなシステムになっているのだろうか。日本の大学のように入った学部で専門分野を勉強し、4年で卒業する?
第1レベル・第2レベル・第3レベル
アメリカやヨーロッパの国々のように、イタリアの新学期も9月から始まる。そして取得できる学位は3段階に分かれている。
◇第1レベル 3年間の基礎課程
出願資格:高校卒業以上
取得学位:Laurea(Bachelor’s level degree)
◇第2レベル 2年間の専攻課程
出願資格:学士号以上
取得学位:Laurea Magistrale/Specialistica(Master’s level degree)
◇第3レベル 専門教育コース
出願資格:修士号以上
取得学位:Dottorato di Richerca
◇第1.2レベル一貫 5年間
出願資格:高校卒業以上
取得学位:Laurea Magistrale/Specialistica(Master’s level degree)
基本的にはイタリア語での講義だが、国際化の一環として英語での講義も行われている。
単科コース
日本での聴講生スタイル。学位の取得はできないが、興味のある分野の講義に参加できる。
半期~通年での受講。
修了試験が受けられ証明書をもらうことができる。
交換留学
在籍している日本の大学から協定校への交換留学。
半期~1年、イタリア語を始め、イタリア文化やその他の専門分野を学ぶことができる。
英語で受講できるコースもある。
短期留学/サマースクール
各大学ごとに外国人向けイタリア語・イタリア文化コースやその他専門分野の短期コースを設けており、
サマースクールでは野外アクティビティなどバラエティに富んだプログラムが準備されている。
イタリアの大学出願は日本とは少し異なるので確認が必要だ。
まず、個人で出願することができない。4~6月にイタリア文化会館に出願申請し、入試は留学したい年の9月に現地で試験を受ける。(交換留学の場合は在籍校で確認。)
9月下旬に結果が発表されるので、日本に帰国してビザの申請をする。
※ただし、一部のコースや分野では前年の秋から事前選考を開始したり、
入学試験前のコース専用オンライン登録が必要になったりと例外もあるのでしっかり調べよう。
90日を越えての滞在にはビザの取得が必要。イタリア大使館 で確認。
※ビザの申請に必要な書類や費用は変更になることが多いので必ず最新情報をチェックすること!
留学のスタイルにもよるだろうが、基本的には学生寮に入るか、ホームステイ先の紹介があるだろ。
ホームステイではイタリア人の日常生活を見ることができ、作ってもらう料理で家庭の味を知ることができる。家族と一緒に買い物に行ったり、家事を手伝ったりとそれだけ誰かと会話をする時間が増える。
学生寮では家族に迎えられるわけではないが、クラスメートや学校での友達と過ごす時間が多くなる。長く同じ時間を過ごせばそれだけ結びつきが強くなる。もしかしたら一生の友達がここでできるかもしれない。
150~250万円/年
イタリアの大学のほとんどが国立。そのため、イタリアへの大学留学は他の英語圏に比べると費用を抑えることができる。
国立大学では年間の授業料が15~20万円とかなり控えめ。
しかし、専門や研究などの特殊なコースによっては費用がぐんと上がる場合もあるので、確認しておこう。
・1ヶ月の滞在費:約10万円~
・1ヶ月の生活費:約5万円~
・航空券:約8~15万円(シーズンで大きく変動)
・海外保険:約5~10万円(滞在日数によって変動)
奨学金など、留学の助けになるものも利用し賢く留学しよう。
イタリアへ留学している日本人は非常に少なく、クラスに日本人は自分だけなんてことは珍しくない。夢や目的があってする留学はもちろんの事、まだこれから進む道を迷ったり探している人には、そんな環境の中に身を置いてみるというのも一つの良い選択ではないだろうか。
世界でも最も多くの世界遺産を保有し、学問や芸術で世界でも先を行くイタリアへの大学留学は人とは違う、なかなかできない体験として大きな自信になること間違いなしだ。
大学留学
£16,980~
専門留学
173,000 円~
大学留学
£18,490~
語学留学
1,210 ユーロ~